−魔王の最後−



・・・・・・・・ここは・・・・・・どこだ・・・・・


目を開けるとオレは見知らぬ場所に倒れている


・・・・・・・なんでオレはこんなところに・・・・・・

・・・・・・とにかく立ち上がらなければ・・・・・・・


!?


なんだ?・・・・・足に・・・・・足に力が入らない・・・・・・・・

いったいこれは・・・・・・・・・・・・


オレは自分の足を見ようと視線を向けるが・・・


なんだ・・・・オレの下半身が・・・・・・ない・・・・・・


オレの腰から下はどこにいったのか見当たらなかった

そしてオレの回りにはおびただしい量の血に染まっていた


いったいいつ・・・・・

・・・・・・・ハハハ、しかし痛みもないとは滑稽だな・・・・・・

しかしここはどこなんだ・・・・・・・・・・・・・・・


まわりを静かに見渡すと、目の前にオレを見つめている人物達がいた


ん、目の前にいるのはユーゴーに・・・・・・・・・・高槻達か・・・・・

どうしたんだユーゴー、そんなに蒼ざめた顔をして・・・・・・

高槻・・・・・・お前まで・・・・・・・・・

どうしてそんな顔をするんだ・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そうか・・・・・・・・・・オレは・・・・キースのやつに・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・お・・・・・・・・おまえ達か・・・・・・・・・」

オレはなんとか声を絞り出すが、自分でもちゃんと言葉を出しているのかわからない

・・・しかし伝えなければならない

「・・・・・キースは・・・強かった・・・・・・・」

そう、・・・キースは・・・強かった・・・・

「この魔王(セイタン)の力でも・・・・このざまだ・・・・」

そして、この魔王の力でも・・・このざまだ・・・・



そう・・・・悔しいがキースは・・・・



「ククク・・・・こいつはお笑いだ・・・・・・・・」

「そうか・・・・・オレはお前に躍らされてただけなのか・・・・・」

そう、オレがやつに敵意をむき出しにしていたことをキースは知っていた

そしてそれを知った上でオレ達にジャバオックの情報を与えた・・・

・・・そして・・・そして他のX−ARMYの仲間達は・・・


だが!


「だが・・・・オレとしては願ったりかなったりだぜ!!貴様を殺せるチャンスを自分の方から与えてくれるとわな!!」

そう、今憎きキースのやつはオレの目の前にいる

「・・・・・・・・・」

「魔王(セイタン)の力、今こそお前に思い知らせてやる!!」

そう、ジャバオックに敗れたとはいえ、オレのこの考えるだけで圧倒的な破壊をもたらす力、魔王の力をな

そうキース、今こそお前に思い知らせてやる!

「思い上がるのもいい加減にしろよ!!」

!?

「お前ごときの力でこの私を殺せると思っているのか!?」

・・・オレごときの力だと!?

馬鹿め、お前はまだオレの力を本当は知らないんだ

だからしっかりとその身で思い知らせてくれる

「貴様が遊園地で、貴重なジャバオックのデータを引き出してくれたことには感謝する」

!?

なんだ・・・やつの・・・キースの姿が・・・

・・・変形していく・・・

これはいったい・・・

    ベキ ベキ

「その礼としてお前が死する前に体験させてやる・・・」

    ベキ バキ バキ

「この私のARMS,最終形態・・・・」

オレの目の前に現われたこいつはなんだ!?

これではまるで・・・

いったい・・・いったいARMSとは!?

「グリフォンの力をな!!」

“グリフォン”!?

「さあ、受け取りたまえ!!」



そしてオレはなにもできずにこのザマだ・・・

・・・・キースは強かった・・・・



・・・ハハハ、高槻・・・これは報いなのかもしれないな

お前はあの時オレに言った

  『お前だってエグリゴリの学者と同じだ!!』

  『平気で仲間を“物”として扱っているじゃねーか・・・』

・・・そう、オレは仲間を“物”として扱っていた

それは・・・ただ、お前を倒すことに心を囚われていたからだ

オレもエグリゴリの学者たちにそのように扱われていて、それを嫌っていたにもかかわらずだ

そして、オレもオレの仲間も“物”として処分された

まるで・・・まるで安物の家電製品のように!!

オレには力はあったが、お前のように心は強くなかったようだな



「・・・・・・・・・・・もういい・・・・しゃべるな・・・・」

「・・・・・高槻・・・・・よ・・・・・」

・・・お前に託したい・・・

「X−ARMYは・・・・・・・・ここまで・・・だ・・・・」

・・・X−ARMYの遺志を・・・

・・・おまえ達がオレに見せてくれたその・・・・絆・・・の・・・つよ・・・さ・・・で・・・


・・・そして・・・


「妹・・・やキャロルを・・・頼む・・・」


特に妹のユーゴーはわたしがいないと・・・

それだけがオレの心残りなんだ

それに妹は高槻、おまえの・・・こと・・・が・・・


ユーゴー!?


・・・目の前でユーゴーがなにか叫んでいる・・・

すまんな、もうなにも聞こえないんだ・・・

今思えばあの時にお前の忠告を聞いていればこうはならなかったかもな・・・


  『彼らも私達と同じエグリゴリのモルモットなのよ』

  『そんな同じ立場の人間を兄さんは殺そうとしている』


そう、エグリゴリのモルモット同士が戦っても意味のないことだった

オレはそんなことにすら気付かなかったんだ


そう、オレは気付くのが遅すぎた・・・


ああ・・・・もう目も見えなくたってきた・・・

暗い・・・オレは闇の中に沈んでいくのか・・・

・・・妹よ・・・すまないが兄はここまでだったようだ・・・・

だがこの兄の死などでお前には立ち止まって欲しくない


・・・もう何も見えないし・・・なにも聞こえない・・・

だがオレには見える・・・

お前がこの兄の死を乗り越えて前を向いて進んでいける姿を

・・・そして・・・

お前の心からの笑顔が

お前には悲しんだ顔などは似合わない

後はオレの遺志は高槻に受け継がれていくことを信じたい

お前も・・・お前も自分の信じる道を・・・行って・・・・・・・く・・・・・・・・・れ・・・・・

それがこの兄のさい・・・ご・・・・・の・・・・ねが・・・・い・・・・・だ・・・


ユーゴー、わたしはこれからはいつまでもお前のことを見守っている

さら・・・・ば・・・だ・・・いも・・・う・・・と・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・











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