Take2.







俺の奴に抱いた感想…

それは変な奴であった

最近教室で妙に誰かの視線を感じる

最初はどうせ誰かがいつものように俺のことを根暗だとか
風変わりな奴だとでもといった視線で見ているのだと思った

でもそういう奴はたいていすぐに自分の興味あることに熱中するので
すぐに他に視線を向ける

この時だってそうだろうと俺は思っていた


だが違った


その視線はなかなか俺から離れない

今俺の目にはメガネのレンズを通して
ヘミングウェイの著作「武器よさらば」が目に映っている

せっかく話も中盤に差し掛かって
これからがこの本のいいところだというのに…

だがそのいつもと違う視線が気になって俺は集中できずにいた

俺はパタンと本を閉じるとゆっくり立ち上がって周りを見渡す

すると俺が本を閉じた音にか、
それとも俺が立ち上がったこと、
はてはその両方かクラス中の視線が俺に注がれる

だが俺はかまわずに周りを見渡す

まわりは好奇の目で俺を見ている

だが俺は別にそんなことはもう慣れっこだから気にしない

そしてそんな連中の中に奴がいた

明らかに他の奴とは違った視線を俺に送っている


名前だけは知っていた…
青山 佑作(あおやま ゆうさく)


このクラスに振り分けられてから今日でちょうど2週間が経つ

クラスメートの名前は全員男女共に覚えた

別に覚えようと思ったわけじゃなく、こう自然と頭に入ってきたのだ

だから青山の顔を見たときもすぐに名前が出てきた

顔立ちは整っていて、髪は茶髪にちょっと長め、
そして同姓の俺から見てもその顔は悪い造りはしていない

そしてクラスは違うけど青山には彼女がいることも知っている

対称的なカップルとして学年でもちょっと有名だからだ

俺もその彼女を見たことがあるのでその噂は正しかったと思った

そしてその青山自身は存在感はないのだが
妙に俺の視界に入ってくるし気にもなる…そんな奴だった



丁度あの日までは…



(つづく)

2001年2月11日


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