杏子編V
12:36 −都内某私立高校−
雄二「……」
雄二「……」
雄二「………」
玲奈「……雄二…くん?」
雄二「ん? ……ああ、玲奈か。授業はどうしたんだよ」
玲奈「今お昼休みだよ」
雄二「そっか、もうそんな時間か……」
玲奈「杏子さんのこと……まだ考えてるの?」
雄二「……どうだろう。 ……でも玲奈がそういうのならそうかもな」
玲奈「その……昨夜会う約束してたんでしょ?」
雄二「……ああ。でも杏子の家はもう………」
玲奈「うん、私もニュースで観た……あれって杏子さんの家よね……」
雄二「……」
玲奈「………」
雄二「………」
玲奈「昨夜……杏子さんに何を言おうとしてたの?」
雄二「……え?」
玲奈「……」
雄二「………」
玲奈「………ごめん。こんな時にずるいよね……わたし」
雄二「………」
雄二「いや、俺がいつまでもはっきりさせなかったのもいけないと思う。 だから玲奈にも……」
玲奈「ううん、いいの。 長い付き合いだからなんとなく分かってた。 ……雄二君が杏子さんに惹かれてたの」
雄二「………」
玲奈「私も杏子さんのこと嫌いじゃなかったよ。 なんだか本当のお姉さんみたいだったし」
雄二「………」
玲奈「でもその杏子さんももういないんだね……」
雄二「昨日の昼……なんであそこで別れたんだろう俺……」
玲奈「私と会う前?」
雄二「ああ。 そのときも杏子は狙われたんだ」
玲奈「!!」
雄二「俺も心のどこかで安心してたのかもしれない……杏子は死なないって。 死なない人間なんていやしないのに!!」
玲奈「雄二君……」
雄二「あそこで俺が別れたりしなけりゃ…―」
玲奈「ごめん…私のせいだね。私があんなくだらないことで呼び出したりするから……」
雄二「あっ……」
玲奈「……」
雄二「そ、そういう意味じゃ……ん?」
玲奈「え?」
…「お話中失礼」
玲奈「……誰?」
雄二「あれ? 確か昨日お墓にいた……」
…「………」
…「江国雄二君……ね?」
雄二「え、ええ……あの、あなたは?」
…「ちょっと一緒にそこまで来てもらえるかな?」
雄二「え?」
玲奈「ちょっと、ちょっと!いきなり現われてなんなのよあなたは!!」
…「桐野杏子に会える…… といえば付いて来てくれるかな?」
雄二「!!」
玲奈「えっ、杏子さん……!?」
…「ふっ」
雄二「………」
…「そう怖い顔で睨まないでくれ。 少なくとも私は君の敵じゃない」
雄二「どこからそういう言葉が出て来るんだよ……玲奈、下がって!」
玲奈「え、雄二……君」
雄二「杏子に会えるって……言ったよね?」
…「………」
雄二「あんた何者………」
…「敵ではない…… といったが」
雄二「それを素直に信じると思う?」
…「なるほど…… さすがにLost One事件を桐野杏子と一緒に解決しただけはあるな」
雄二「!!」
玲奈「えっ?」
雄二「ど、どうしてそれを……」
…「ちょっとした情報通がいてね。 君と桐野杏子は私の業界じゃちょっとした有名人なのさ」
雄二「つまりそれって…… 俺を殺しに来たってことでしょ………」
玲奈「えっ―!!」
…「………」
雄二「どうなんだよ」
…「……やれやれ」
雄二「!?」
…「仮にそうだとしたら君は一体どうするつもりだ? 後ろの彼女を逃がしでもするのかな。だが見たところ君はなんの訓練も受けてはいない、ここで私が君を殺すのに10秒もかからないだろう」
雄二「くっ……」
…「安心しろ。 私は君と、桐野杏子に危害を加えるつもりは毛頭ない」
雄二「えっ!?」
…「来い、ヤツに…… 桐野杏子が君と会いたがっている」
雄二「杏子が!?」
…「そうだ。 ヤツは君が昨夜の一件で怒っているのではないかと心配していたぞ」
雄二「じゃ、じゃあホントに杏子は?」
…「だからそう言ってる。 私は君達の……少なくとも敵ではない」
雄二「……アナタは一体……」
…「モニカ…… モニカ・セレッティといえば分かってもらえるかな?」
雄二「その名前って!!」
モニカ「そういうことだよ、江国雄二君」
13:03 −新緑公園−
モニカ「……ここだ」
玲奈「………」
雄二「………」
モニカ「桐野杏子はこの中にいる」
玲奈「………ここに?」
モニカ「そうだ、ここほど最適な場所はとりあえず……その、なかったのでな」
玲奈「だからって………なんで公衆トイレなんかにいるのよーーーー!!」
モニカ「な、なにを。 それに見ろ。 ちゃ、ちゃんと[清掃中]の札は出しておいた―」
玲奈「そういう問題じゃないでしょうが!! あんたバカァ?」
モニカ「………い、嫌なぐらいにはっきりものを言う娘(こ)だな」
雄二「………」
モニカ「とりあえず中に入るといい。私はここで回りを警戒している」
雄二「え、で、でも……」
モニカ「安心しろ。あいつは無事だ。 特に大きな怪我もない」
雄二「い、いえ……そういうことじゃ〜なくて………」
モニカ「?」
玲奈「ちょっと! 雄二君が堂々と"女子トイレ"なんかに入れるわけがないでしょ!! 私が入ってきま―」
モニカ「ああ、それなら大丈夫だ。桐野杏子がいるのは男子トイレだ」
雄二「……え?」
玲奈「はっ?」
モニカ「桐野杏子は女子トイレではなく男子トイレにいる。 それなら問題はないだろう?」
雄二「え、えっと……」
玲奈「問題おおありじゃない!! なんで男子トイレなのよ!!」
モニカ「連中もまさかこんな公衆トイレ、しかも男子のほうにいるだろうなどとは思いもよらないだろうからな」
玲奈「あ、頭痛い……」
雄二「え、えっと……じゃあとにかく……」
玲奈「あ、雄二君………―」
モニカ「………君も追わなくていいのか?」
玲奈「う、うっさいわね! 今入るところよ!!」
モニカ「………」
玲奈「(ゴクッ)」
玲奈「そろ〜〜〜〜……」
玲奈「(入るの? 入ってしまうの玲奈? でも、今はそんなこと言ってる場合じゃないのよ、うん)」
玲奈「(でももしこんなところをクラスメートや近所のお喋りおばさんにでも観られたら、明日から私が男子トイレに入ったってことは色々尾ひれがついて近所中に知れ渡ってしまうわ……)」
雄二「きょ、杏子!!」
玲奈「(ビクッ) ちょ、ちょっと雄二君急に大きな声……って、もう私も入っちゃってる……なんか汚された気分……」
玲奈「って、そんなこと言ってる暇じゃないわ! 雄二君、杏子さんは…………杏子……さん?」
杏子「んが〜〜〜、んごごご!!」
雄二「やっぱ、杏子だよ……な?」
杏子「(コクッ コクッ)」
玲奈「な……なんで縛られてるわけ?」
雄二「……杏子ってそういった趣味あったっけ?」
杏子「ごがっ? あがー、ごががが!!(訳:そんなの、あるわけないでしょ!!)」
雄二「………」
杏子「ごががが、ごごぎゃーぎゃぎゃぎゃごご!!(訳:どうでもいいから、早くこのロープをほどいて!!)」
玲奈「……これも一種の…感動の対面……なの……?」
雄二「………」
杏子「ごがっが、がげろ”〜〜〜〜っ!!(訳不能)」
………… to be continued
ぱら「え〜、本日の後書ゲストは工藤玲奈さんにお越しいただいております。玲奈さん、どうも今日はようこそおいでくださいました」
玲奈「ちょっとちょっと作者さん。 どうしてそんなに礼儀正しい言葉で私にいきなり接するんですか」
ぱら「いや、なんか間違えたこと言っちゃうと『あんた馬鹿ぁ?』とか言われちゃいそうなんで……」
玲奈「いいません!!」
ぱら「……ホントに?」
玲奈「本当です」
ぱら「ホントのホントに?」
玲奈「本当です!!」
ぱら「なんだよ〜、それだったらそうと早く言ってくれればこんなにかしこまった言い方しないのに〜☆」
玲奈「な…なんで語尾が☆になってるんですか!!」
ぱら「いや、現役女子高生の会話には語尾に☆マークを付けるのだというこの***出版発行の『女子高生会話術』に書いてあるんで」
玲奈「……なんです、その妖しげな本は? っていうかそれの発行日ちゃんと見てください」
ぱら「うむ、199*年となってるね」
玲奈「そんな古い情報を元にしないでください!」
ぱら「いや、あいにくと他に資料がないので………」
玲奈「あんた馬鹿ぁ!?」
ぱら「Σ(゚Д゚|||(ガーーーーーーン)」
玲奈「(読者の皆様)断わっておきますけど、この後書は作者の妄想によって生まれています。私のキャラは決してこんなキャラではないので今後ともよろしく♪」
無事に再会を果たした杏子と雄二
一方弥生の身に危険を感じた小次郎とまりなは急ぎ弥生の元へ
だがすでに弥生の姿はそこにはなかった
そのとき小次郎が考えたことは!?
次回 小次郎編W!
次も読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ♪
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EVE Endless Rhapsody