フルメタル・パニック?


散々なSNOW DAYS



その日東京は前夜から降り続いた雪が降り積もり、朝になれば見渡す限りの銀世界が拡がっていた

kono
この雪は首都圏において例年以上の大雪となり、首都圏では慣れない大雪によって各交通機関は麻痺し、通勤・通学等に多くの混乱を招いた

昼過ぎまでには道を急ぐ歩行者数人が雪道に滑って転倒し足の骨を折ったり、雪かきをしていた老人がぎっくり腰にやられたり、かまくらを作っていたが崩落によって生き埋めに鳴ったりなど様々な被害が出た

そして都内のこの陣内高校でも……………

ボンッ

学園に響き渡る爆音。それを聞いた者たちは突然の爆音に何事かと周りを見渡すが何が起こっているのかわからずただザワつくだけであった……約1名を除いて

陣内高校生徒会副会長の千鳥かなめは学食で食べかけていたミートソーズスパゲティに顔面から突っ伏している


「うっわ〜、かなちゃん。 派手なリアクションだねー」


それを観ていた親友の常盤恭子は目の前の親友の惨事にも動じることなくパックのオレンジジュースをすする


「ま……ま〜〜た、あんの戦争バカはぁーーっ!」


言うなりスパゲティから顔を離し、引きつった顔のまま食堂を50m5秒台で駆け抜けられるのではないかというスピードで食堂を飛び出していった

それを見送った後恭子は、「またかー。かなちゃんも大変だな」と思いながらも毎度のことと落ち着き払ってジュースをすする



スパーーーッン!

例のごとくのハリセンがこの事件の犯人相楽総介の後頭部を小気味よい音を響かせながらはたいた


「千鳥か…… なかなか痛いぞ今のは」


叩かれ雪の上に突っ伏したまま総介はそのむっつり顔を上げて言い放つ


「うっるさい! なんなのよ毎日毎日こんな雪の日にでも爆弾騒ぎなんて! こんな寒空の下に私をあんたの不祥事で呼び出すなんて! アンタのせいで楽しみにしていたスパゲティ食べ損なっちゃったじゃない!!!」

「スパゲティ? なんだそれは? そのような新兵器をいつどの機関が―」

「だ・れ・が兵器の話なんかしてるのよこの根暗戦争オタクが! 私のスパゲティを返しなさい、オラオラオラァッ!!」


突っ伏した総介を容赦のない足蹴りの折檻が総介を襲う


「………だいたいなんなのよ今度は……!」

「うむ。どうやらこの雪で生徒が仕掛けていた地雷原に踏み込んでしまったらしい」

「はっ? ―地雷原?」

「肯定だ。ここは我が陣内高校緑化委員が管理する花壇だ。立ち入り禁止の立て札が掲げてあったので生徒会安全保障問題担当として地雷を設置しておいた」


その説明にかなめは何もいうことができずただあんぐりと口を半開きにしていた

毎度のことながら平和な日本の高校生活というものに馴染めない総介の頭の中ではいつもこんな調子である

そして毎度その後始末を任されてしまうかなめも自分の面倒見の良さに別の意味で涙が出そうであった


「毎度毎度アンタッて……で、その踏んだ人はどこにいるのよ? もし大怪我してるんだったらすぐに保健室に―」

「心配するな千鳥。殺傷能力のない演習用地雷だ。 その生徒にも先ほど俺が今後はちゃんと足元に気をつけるよう言い含めておいた。 彼もこれを教訓として―」

「どこの高校生の世界の教訓よ、どこのっっ!!」


言い終える前に再びかなめの先日TVで観たコークスクリュートパンチが総介のあごをとらえ、総介は錐揉み状に吹き飛ばされた


「だいたいこんな寒い日に外に出なくちゃならない私ってなんなの? 私は暑いのも嫌だけど寒いのも嫌なのよ!! わかる?」

「わからんな。 そんなことではどんな作戦行動にも従事できないし―」

「私はあんたみたいな戦争バカじゃないのよ! 普通の平和を愛する高校生なのよ!! いいかげんに理解しなさいよ!!!!!」


自称"平和を愛する高校生"かなめはガッチリと総介の首を絞めながら凶悪なまでの表情で言い放つ


「だ、だが千鳥!」

「やかましい! わかったの? Yes , No?」

「りょ、了解した。 な、なるべく千鳥の手を煩わせることのないよう地雷の位置を考慮し―」

「そうじゃないでしょうが!」

「で、では……殺傷力のある地雷を埋めろと!? 千鳥はそれで以前に俺に―」

「ふんっ!」


まるでわかっていない総介の返事にとうとうかなめはぶち切れて総介を投げ飛ばし、「この戦争根暗男!」と言い捨て怒りのままにその場を後にした

そして雪の上に一人残された総介はただ空を見上げ………


「雪か………」


ポツリとただ一言そうつぶやいた





――翌日、ちどりと総介のクラス2年4組は皆ジャージに着替えて校庭に集合していた

いまだに雪も残っており、この寒空に校庭までジャージ姿で引っ張り出された皆は口々に

『なんでこんな寒い日に校庭なんてこなきゃならねーんだよ』

『雪の日に騒ぐのはガキだけで十分だっての』

『こんな寒い日には熱燗をキューーーッとやりてーよな』

と、いまどきの高校生らしい不満を漏らしていた

学級委員のかなめもその例には漏れず、ガチガチと歯を鳴らし寒さを堪えていた


「寒そうだねかなちゃん」

「う”〜〜〜。なにが哀しくていまだに雪が残っているこんな日に校庭に出なきゃならないのよ。私達は白熊じゃないってのに。 ………総介、あんたなんにも感じないの?」


かなめは隣でただ一人直立不動で立っている総介をまるで荒涼としたサハラ砂漠に生えた1本の木をみるような目で見ながら声をかける


「当然だ。 この程度の寒さに参るほどやわな訓練を俺は積んでいない。 そもそもこの程度の寒さに参るようでは―」

「あー、わかったわかった。あんたみたいな戦争バカには寒さなんて毛ほどにも感じてないんでしょ」

「よく分からんが、なにやら失礼な物言いのようだな」


そんな問答を繰り返すうちに担任である神楽坂がやってきた。


「はーい、みなさん! 今日は英語の時間を使って雪合戦をしたいとおもいまーす!」


突然のこの提案に湧き上がる不満の声。ただ一人総介だけが眉をピクリと動かせ神楽坂先生をに注視していた

一方の提案者である神楽坂はこの提案に対する予想外の反発にさっきまでの笑顔が引きつる


「はいはいはい! アナタたちの不満は分かるけどね……あなた達はちょっとエネルギーが余りすぎてるみたいだからここで少し発散させたほうがいいの。つべこべ言ってると今学期の英語の単位あげません!」


『横暴だぁー』と誰かが叫びはした

だが結局ブツブツと不平を言いながらもクラスを二つに分けて雪合戦の準備に取り掛かかるしかなかった

このただでさえ寒い日にジャージ姿で雪合戦。すでに皆サッサときりあげて教室に帰ろうということしか考えていなかった。

………ただ一人を除いては―







雪合戦の準備をする最中、総介はまわりのクラスメートを不思議そうに眺めていた

『雪合戦』、この耳慣れず想像しがたい言葉が総介を悩ませる

合戦というからには戦闘を意味し、その頭に雪とつくので雪上戦だろうとは想像がつく

だが雪上戦のための塹壕はあっても撃ち合うべく武器が見当たらない

チームメイトとなった風間や恭子を見ても他のクラスメイト同様に雪で拳大の雪玉をただひたすらに作っていた


「ふむ………アレは持久戦に備えての食料代わりなのだろうか?」


などと想像してみたがいまいちピンと来なかった。総介は悩みに悩んだ末風間の元へと近寄り、


「時に風間……雪合戦とはなんだ? 合戦というからには戦いだとは思うのだが」

「え、相楽君知らないの?」

「うむ、残念ながら俺は今日まで雪合戦というのは経験がない。」

「へー。ひょっとして相楽君って雪見るの初めて?」


総介と風間の話を耳にした恭子が面白そうな話だとばかり割り込んでくる


「いや。アフガニスタンを初め様々な国で雪は見ているが……雪合戦というのは残念ながらしたことがない」

「へー。雪合戦を知らないなんて相楽君も色々と大変なんだね〜」


恭子の言葉に風間も「ウンウン」と頷く


「えっと。簡単に言えば雪玉をぶつけ合いながら敵陣地のフラッグを奪取すればいいんだよ」

「………つまり実弾の代わりに雪玉を使った雪上での演習か?」

「うん。でも相楽君初めてなんでしょ?」

「肯定だ。 確かに演習では初めてだが、雪上戦の実戦なら経験している。 それに実弾が飛んでこないのなら問題はない」

「よく分からないけど……なんかいつもの調子で誤解していなければいいけど」

「心配するな、俺はプロフェッショナルだ。 さっそく準備に取り掛かる」

「あ、相楽君……」

「行っちゃったね相楽君。 風間君、あの説明で彼ちゃんとわかってくれたかな〜?」

「うん……でも相楽君の口ぶりだとまたなんか誤解してるみたいなんだけど」

「う〜〜ん。かなちゃんは敵チームになっちゃったからもし相楽君がいつもの調子で暴走しちゃったらー…………」


2人はなるべくこの問題について考えるのは止めようと、雪玉作りに専念した






「準備は良いですか? それでは………開始ーーーっ!」


神楽坂先生の笛を合図に両軍は一斉に行動を開始する

合図と同時にかなめ達の"ブラボー"チームの男子5人が正面から突撃を開始する


「先手必勝よ!行きなさい、我がコルドバの5人衆!」


かなめの高らかな掛け声に『コルドバってなに?』という突っ込みを皆が心の中でつぶやく


突然の奇襲とも取れるその攻勢にたじろぐ総介達の"アルファ"チーム


『先手必勝ーーーーっ!』


その言葉の裏には『早くこんなくだらないことは終わらせて教室に帰りたい』という想いが暗に込められていた

攻め込まれたアルファチームもブラボーチームと同じ気持ちで、適当な反撃に終始するが当然当たるはずもない

………そう"未だ"その反撃は散漫なものであり、とても撃退しようというものには見えなかった

そしてブラボーチームの猛攻がアルファチームの陣地までまであと少しとなったとき………


ボンッ!

ズドドドドドッ




突撃を仕掛けたブラボーチームの男子3名が立ち昇る煙に飲み込まれた


「な、なんだぁー!?」

「ああ、コルドバの5人衆が!!」

「だからそれ何よ!」

「一体なにが起こったの?」


両軍とも突然の出来事に困惑の色を浮かべ口々に叫ぶ。そして一瞬の隙を作ってしまった

その一瞬の隙を突いて残った突撃メンバーの2人に雪球が炸裂する


「うわっ」

「痛ぇっ」


残りの2人はその場に倒れ、何事かと飛んできたほうを見やる。するとそこには白の雪上戦用の迷彩服を着込んだ総介が、同じく白いライフルのような銃を構えていた


「………策も無く正面突破を試みるとは愚かな」

「愚かなのはアンタよ!」


毎度のごとくいつのまにか駆け寄ったかなめが総介に向かって特大の雪玉を投げつける









「いい、総介! これは雪合戦っていう遊びなの、遊び!」

「つまりは雪上における演習のことであろう。それならば―」

「あー、なにを勘違いしてるのか知らないけどね。とにかくあんな地雷や銃は反則よ!」

「な! それでは何を武器に? フラッグのダッシュという勝敗方法は理解できるが、その目的へ直進できるような箇所には地雷を仕掛けるのは戦術のセオリーだ!」

「あー、なんかあんたと話してると頭がおかしくなってくるわ………とにかく、武器はこの雪球。これを敵チームに投げて侵攻を阻止し、フラッグを奪うだけよ。地雷なんて論外!銃もダメ!!」

「なるほど。つまりこの雪球を工夫して戦術を練れと」

「………ちなみにアンタが思いついたその工夫とやらを言ってみなさいよ」

「うむ。この雪玉の中に手榴弾を埋め込んで―」

「却下! なにも埋め込んじゃダメ! 石も手榴弾も全部ダメ!!」

「な! それではこんななんのダメージも与えられないような雪玉しかないではないか! それでは敵の侵攻を阻止するなど不可能だ! 素手でASに立ち向かえと言ってる様なものだぞ千鳥!」

「やっかましい! だからこれは遊びだっていってるでしょーが!あんたクラスのみんなに怪我させたいの? とにかく反則はダメだからね」

「りょ……了解した」


これを見た風間と恭子は嘆息し、


「………やっぱり相楽君。 なんか勘違いしてたね」

「うん………」






開始早々騒動は起こったが、なんとか落ち着きをみせ第2ラウンドが始まろうとしていた

今度は総介も黙々と風間や恭子たちと一緒に雪玉を作る。だがどうしても総介にはこの作業に安心できなかった

(この雪玉をぶつけるだけの演習? ………なかに手榴弾も石も詰め込んではならないとは作戦の遂行に支障をきたすことこの上ない。だが……)

雪玉を作りながらも総介の心中は穏やかではなかった


「な…なんか不気味だね、相楽君が黙々と作業していると」

「それは偏見だ。俺は作戦遂行中は必要以上に喋らない。夜間での戦いでは声を出せば自分の居場所を敵に知らせることにもなるのだからな」

「なるほど……でもこれは単なる雪合戦だよ?」

「雪合戦だろうとなんだろうとこれは演習だ。 常に実戦を想定して行わなければ訓練にならない」

「ふ〜ん、そんなものなのかな?」

「うむ、肯定だ」


そして再び鳴り響く第二ラウンドのホイッスル

今度は両軍共に相手の出方を伺っている


「あーあ。かなちゃんたち雪山作って防壁にしちゃってるよ」

「完全に持久戦狙いだねー」

「いや、そう思わせておいて特殊部隊を送らせるつもりかもしれん」

「と、特殊部隊って―」


風間が聞き返そうとした瞬間、アルファチームの左翼に雪球が集中した


「う、うわっ! 本当に来た!」

「オノD(小野寺)達だよ!」


慌てるアルファチーム。 だが総介は慌てずに雪玉をいくつか抱えて身を屈めたまま左翼に移動を開始した


「へっへ! 今度こそもらっ―!!」


ズボッ


アルファチームの視界から突如オノD達の姿が消えた

当のオノDたちも一体自分達の身に何が起こったのかわからず次に目を開いたとき視界には総介が自分達を見下ろしているのに気づいた


「さ、相楽? なんだよこれは!」

「ふむ……こんな単純なトラップ(落とし穴)にかかるとは新兵以下だな」

「な、なに! 落とし穴だって!?」

「肯定だ。 だが安心しろ。この落とし穴はただ落ちるだけで刃も爆弾もない。 そして………」


総介は抱えていた雪玉を握り目標を定める


「確か相手に雪玉をぶつければいいのだったな……」

「う、うわーー! タ、タンマタンマ!!」

「戦場にはタイムなどない。己の不注意を嘆くのだな」


そう言い残し総介は必要以上の雪玉を必要以上の力でオノDたちにぶつけるのであった







「おのれ総介……落とし穴なんていう卑劣な罠を〜〜〜!」


かなめはいつの間にか握っていた指揮棒を握り締め総介への怒りを表す

そして残った面々に向かい、


「いいみんな! どうやらあの戦争バカはまたいつもの暴走をしているわ! しかもこうした戦いというフィールドだけに性質(たち)が悪いわ。 これまでのパターンから銃や地雷なんかの武器の使用は抑えられるかもしれないけど、うかつに近付くとあんな卑劣な罠のオンパレードよ!」


『うんうん』


かなめの意見に全員が頷く


「そしてあの戦争バカに勝ちを許そうものならアイツは今後もこれまでの行いを悔い改めることはないわ!」

『うんうん』

「それを食い止めるため。いわばこれは聖戦、正義のための戦いよ!」

『おぉーーー!』

「目には目を! 歯に歯を! 正義は我にあり!!」

『おぉーーー!』

「そして何より……早く教室に戻るために!」

『異議なーし!』

「哀しいけど……これが戦いなのよね……」


ここにブラボーチームはかなめを中心として団結された

そして………

「雪だるま作戦発動ーーーっ!」


かなめの号令と同時に防壁として築いていた雪山が突如前方に動いた

それを目にしたアルファチームは目の錯覚かとも思ったが、そうではなかった。その"雪山"はゆっくりと前に"転がり"始めたのだ


『な、なにアレー?』


アルファチームはただ口々に恐怖の言葉を漏らす

だが雪山はすでに巨大な雪玉となって転がり、徐々にその速度を増し始めた

アルファチームは慌てて持っていた雪玉で迎撃し始めたが、まさに【火に油】とでも表せばいいのか。投げられた雪玉がそのまま雪だるまの形成に助力する形になってしまった


「くっ、このままでは………」


戦いのプロである総介もさすがにこの事態に焦りを覚えた。何故ならこの雪球が防壁ともなって正面から狙えないため左右どちらかからしか狙えないという状況に加えその雪玉の背後にはかなめ達ブラボーチームが雪玉を盾にすでに侵攻していた

このままでは総介達の敗北は明らか。そう、このまま何もせず手をこまねいている限り

焦る総介! 勝利を確信するかなめ! そして猛進するブラボーチーム!!

だが戦場というものにハプニングはつきもの。そのとき起こった出来事はプロフェッショナルである総介にも予想し得なかった


ズドンッ


突如としてその質量にもかかわらず爆音と共に舞い上がる雪玉

それはグラウンドに面した各教室の窓からも見え、多数の生徒だけでなく教師達も目撃していた

もちろん現場に居合わせた両軍に審判である神楽坂もだ………


「な”っ………」


口を大きく開けたまま呆然と宙にあがった雪玉を見上げるかなめ

瞬時に原因を把握した総介は額に脂汗をにじませている

地球上には重力が働いており、それは舞い上がった雪玉とて例外ではない。ズズンッという地響きを立て、その雪玉は………

陣内高校の家庭科室へと直進し始めた


「そ、総介ーーー! これもなに? 全部あなたの仕業?」

「す、全てではないがどうやら………」

「どうやら…なによ………」


言いながらもかなめは嫌な予感ばかりが脳裏をよぎり、その全てが自分の思い過ごしであってくれたらどんなに喜ばしいことだろうと思う

だが総介の口からでた言葉はそんなかなめの期待を見事なまでに裏切ってくれるものであった


「うむ、どうやら撤去しわすれた地雷に引っかかったようだ。それも演習用ではなく本物がな」

「ほ……本物ですってーーーーーッ!? ど、どうすんのよ!」

「うむ…………」

「な、ななな!なんとかしなさいよ、ほら総介!」


かなめは総介の襟首を掴んだままガクガクと揺さぶりながら言うが、総介は脂汗を浮かべながら、


「……すでに不可能だ!」


その言葉と同時にすでに高さj10mはあろうかという大きさにまで膨れ上がった雪玉は……家庭科室を直撃し、勢いもあったために窓ガラスだけでなく壁を破壊し中の椅子やテーブルまで破壊の限りを尽くしようやく止まった

唖然とする2年4組の生徒達

その場にフラッと倒れこむ担任の神楽坂

そしてかなめと総介は………


「まさかこのような結果になろうとは。 だがこれで演習というものがどれだけ実戦を想定し、また実戦では何が起こるかわからないということを皆も理解し―」

「って………語ってんじゃ…語ってんじゃないわよ! この破壊戦争オタクっ!」


雪玉の発案者が自分だということを棚に上げ、いつのまにか手にしていたハリセンを再び総介の頭に振り下ろす

スパーーーーンという馴染みの音が綺麗に校舎全域にまで響き渡るのであった



―後日、陣内高校では"現・2年4組"の生徒全員が卒業するまで教職員を含めた全校生徒の校内での雪合戦が全面禁止となった



(散々なSNOW DAYS・完)



えー、フルメタ検索で来て読んでくださった方、どうもはじめまして、作者の羽螺(通称:ぱら)でございます。そしてすでに知っている方は……フルメタを書いた私を笑ってください(笑)
フルメタにはまり、小説に笑うこと3年……それらを読んでとうとう自分でも書きたいという衝動に駆られ今時分(8月)なのに雪の日の話なんかを書いてしまいました。本当は冬にアイデアも浮かんで書きたかったんだけど、その頃はHDDのデータ崩壊事変、俗にいう『ぱそ奈の変』などもあり小説を書くなどという状況ではなかったのです。しかし今回季節外れながらもここにこうしてフルメタ小説を書けたことに思わず達成感が! ってわけで感想を聞かせてもらえたら幸いです。 フルメタを知らない人たちは今すぐにネットで調べましょう!そして本屋さんへGo!


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