花宴　Hana･no･utage．
Act1-7
2001･3･4（Mon）
This story is written by Azuma Miyako.

＊

東京支部所長と、フリーのトレジャーハンターとの間で、
ごく簡単な挨拶が済まされた。

そして芳乃からの"鷹峯"の情報提供と、
大学構内での窮地を救われた事に対する礼。

「それは優と大槻君おかげだから、礼なら彼らに」

御神苗優は、そのやりとりを
目の前に、考える。

（芳乃を脱出させたのが、スプリガン？）

もちろん、自分ではない。
当時、自分はスプリガンでさえなかったし。

（じゃ、誰？）

御神苗の視線は、山本へいく。

アーカム財団東京支部、所長を山本という。
スプリガンの直接の管理者で、
御神苗にとっては上司にあたる。

そして実は、元スプリガンだ。

御神苗優にとっては、年長者で上司で、
スプリガンとしても先輩なのだが、
堅苦しい上下関係はない。

山本の人柄がそうさせるのだろう。

だから、簡単に質問ができた。

「芳乃を助けたスプリガンは、山本さん？」

「違う。当時は私も現役だったが、
　助けたのは私の友人だ」

「友人？」

「真島という、スプリガンだ。
　もう亡くなっているが。」

「へー、そうなんだ」

御神苗の知らない人物である。
芳乃が付け加えた。

「アーカム財団と鷹峯で、
同じ遺跡を注目する事が多くて、
それで知り合ったらしいわ」

巫女姫とスプリガン。

けして仲間にはならないが、
同じ現場にある者どうしの、不思議な連帯感。

（なんだ、俺と芳乃みたいなものか･･･）

その２人がどういう関係であったのか、
簡単に実感ができた。

「山本さんは、芳乃の母ちゃんに会った事は？」

「何度か話した事はある。
　ふつう、巫女姫は外の者と口をきくどころか、
　姿を見せる事もしないのだが、
　一葉さんだけは違って、」

山本が懐かしそうに、
その"一葉さん"を思い出している。

「彼女は常に単独行動で、
遺跡のある現場にも１人でいた。
危険ではないかと、こちらが心配したほどだ。

だけどその見かけによらず強い人で･･･」

などと、記憶はつきないらしい。

御神苗は、半分、からかってみる。

「山本さん、芳乃の母ちゃんが好きだったのかよ」

山本、あわててせきばらいをする。

「そうじゃない。
　ほんの少し知り合いだっただけだ。
　なにしろ、」

　といい加える。

　「その時、彼女には芳乃君のお父さんがいたし、
　　私だって妻が、」

などと言いよどんでいる。

「当時、何があったんだよ」

そして、これより語られたのは、20年前の回想。
懐かしいセピアの記憶である。

▽TO BE CONTINUE

-パラサイトの感想-

東みやこさんの芳乃小説『花の宴』第七話です
そしてこれでact1（1章？）は終わりact2に移るのですね
次回展開が…
次回がまたしても気になる～～～（＾～＾）

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