プロローグ



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夏の照り付ける陽射し 車のクラクション、パトカーのサイレン、アーケードから流れる音楽、 街の喧騒が騒がしいなか1人の青年(?)がわき目も振らずに正面を見つめながら歩いていた

青年の頃はまだ17、8,? いやもっと若くも見える

この青年は奇異なことに真夏日の街中を黒のジーンズに黒のジャケット、Tシャツも 濃い紺色といったいかにも暑苦しい格好で歩いているにもかかわらず 青年は汗すらかいていない………

しかしこの街ではそんなものは興味の対象にはならないのであろう。

ファーストフード店の前では女子高生3人ばかりがたわいもないおしゃべりをしていたり、 向かい側の通りではスーツを着込んだいかにもビジネスマンが途中時計を見ながら熱心に携帯電話で話しをしている。

しかし青年はそんな人たちにはやはり目もくれなかった。


『……では次のニュースです。今日でエルディアで起こった……』



「!?」


青年はテレビから流れたアナウンサーの声にふと足を止めた。

ちょうど電気屋の前を通りかかり、そこには数台のテレビが陳列され、同じニュースを流していた。

「(…エ…ル………ディ……ア……)」


テレビの画面にはどこかの王宮をバックにアナウンサーがしゃべっている。


『……そして今日であの世界を震撼させたロストワン事件から9ヶ月が経ち、今ではエルディアはやっと……』


「………」

青年はじっとテレビを見ている。

そして次には女の子の顔写真が写された。


『……事件当時は暗殺されたといわれていたプリシア女王ですが、現在では以前と同じように国政を取り仕切り…』


「……」


青年は黙ってニュースを聞いている。


『…そして今日エルディアはドイツから特別派遣医療チームを向かえ、現在もロストワンウィルスの後遺症に悩んでいる人たちの治療に全力を注ぎたいとコメントし、治療費をエルディア側で負担すると発表しました』


『……次のニュースです。 先週ドイツ アーヘンで起きたイスラエルのミラー駐独大使が暗殺された事件ですが、ドイツ警察当局では極右勢力の犯行ではないかと見て捜査を続けております』

『…次は株と為替の……


青年はニュースが変わると向きを変えて再び歩きだし……・・


    ドンッ!


「痛ッ!」


青年の肩に若い男の肩がぶつかった。


「おい大丈夫か?」


若い男の友人がさも大袈裟に語る。


「おい、小僧!どこ見て歩いてんだよ」

「薬でもやってラリってんでたんじゃないの〜、いい身分だね〜」


よく見るとその男達の後ろにも女が1人いた。

しかし青年は彼らをしばらく見渡した後何事もなかったかのように再び歩きだだした。

それをあっけに見ていた男達だが、


「おい!待てよ!」


男の1人が肩に手をかける


「ぶつかっといて謝りもしねえのかよ!」

「………」


しかし青年はただ言い寄ってくる男を見つめるだけで一言も発さない。


「この子怖くて喋れないんじゃない」


後ろで見ている女が笑いながら言う


「違ぇねぇ」


もう一人の男も笑いながら口々に言った


「じゃあ僕、ちょっとお兄さん達に付き合ってよ」


男達2人が青年の両側から肩を抱き


「ちょっと遊ぶだけだからさ」


そのまま繁華街から裏路地へと連れていった

男達はその青年を街の喧騒はかすかに聞き取れるが、陽も当たらず、人通りもない道へと連れていき


「おい、おまえは向こうで誰かこないか見てろよ」

「すぐ済むからよ」


ニヤニヤと笑いながら仲間の女に命令し、


「O.K!  じゃあね〜」


女も笑いながら見張りの位置へと移動していった。



………5分後 女は見張りといってもあたりを見るでもなく煙草を吸いながらボンヤリとしていた


「でもあの子もバカだな〜、さっさと誤っちゃえば良かったのになんで すぐにあやまんないんだろ? ……ま、どうせ怖くて何も言えなかったんだろうけど」

「……違うよ」


不意に女の背後から冷たい声が響いた


「ヒィッ!!」


突然のことに驚く女…・


「違うよ、怖かったんじゃない」

「な、なんで?」

「何でって?…・何?」


青年の表情は笑顔に満ちながら受け答えする・・


「ふ、2人はどうしたの?だだだ、だって2人ともいままで喧嘩で負けたことなんかないのに、む、無傷だなんて…」


そう、青年は傷らしい傷どころか全く傷を負ってはおらず、顔は無傷のままであった。


「ああー、あの彼らか…彼らなら向こうで寝ちゃってるよ。…見てくる? あ、でも…」

「でも?…なんなのよ」

「……目覚めることのない眠りだけどね」


いいながら青年は懐からナイフを取り出した。

しかもそのナイフにはまだ新しい血が 付着しており、青年はナイフの血を舌で楽しげにすくって見せた。

そのナイフの血で理解した女の表情はさらに蒼ざめ、最初のころの余裕はもはやなく、


「ヒィッ!!ひひひひ、人…殺し…・・」


女は口の中は一瞬で乾ききりただそれしか言葉がでなかった。


「!?………クククク、人殺しか……確かに僕は人を殺してしまった……けど、これはゲームなんだ。 ゲームのなかでいくら人を殺そうがどうということはないでしょ?罪悪感や倫理観なんて働く?いいや働くわけがない!そうでしょ?ん?」


青年は愉快そうにつぶやく


「それに君達もゲームをしていたのでしょう? たかだかぶつかっただけの僕に言い掛かりをつけ こんな路地 …… まあ僕には好都合だが、連れ込んでただ殴る蹴るでもして僕をサンドバッグに したかった!ちがうかい?」

「………」


女は震えて声が出せない


「クククク、今度は君が震えて声が出せないじゃないか」


青年はいいながらナイフの刃を指でオモチャをいじるようになぞる


「…………」


青年はまるで小さな子供に見せ付けるようにゆっくりと女にナイフを見せ付ける


「!!?」


女はその意味を本能でか?察知したため必死に口を開き。喉の奥から声を出そうとする


「…た…………」

「ん?なにか言った?良く聞こえなかったけど?」

「た、たす…け…て…」


息もきれぎれに女が喋れたのはこれだけであった


「う〜ん、でも君を助けてたらこの国の警察が僕を捕まえるために躍起になるからな〜。」


愉快そうに青年はつぶやく


「まあ警察なんか怖くないけど僕はここである仕事をするのに支障が出ちゃうんだ。この国の警察機構は猟奇殺人には国民やマスコミの目もあるために特に力を入れる傾向にあるから足元をすくわれるとも限らない。」

「……………………」

「そういうわけで」


男は笑いながら言うとナイフを持った手を一閃させ、


「ゴメンね僕を見た人はこうなるんだ、わかったかい ……氷川さん」

「!!」

「ど…….どうして私の名前……を?」

「じゃあね」


青年はその問には答えずただニッコリと微笑む

女はその微笑に得も言われぬ恐怖を感じたが、次に青年が腕を動かすのを視界に捉えたのが最後の光景となった


返り血が青年の顔にかかったが、彼は笑ったまま気にも留めず、 懐からハンカチを取り出しかかった返り血をぬぐい クルリと向きを変えてそのまま繁華街への方へと歩き出した。

……………………首を切り裂かれた女とそのナイフを残して…



プロローグ・終


どうも著者のパラサイトです。
GAME「EVE burst error」は発売当時まだ浪人生でGAMEを禁じていた我にはやりたくてもできないヘビの生殺し状態でありました。そしてみごと大学合格を決め、セガサターンを購入し、中古でしたが始めて購入したソフトがこれです。そして約2週間、はまったときには夜中だろうと熱中してプレイし、終ったときにはなんて面白いゲームなんだと続いて出た「EVE The Lost One」も発売と同時に購入してしまいました。そして現在では6月18日にでた「ADAM The Double Factor」も無事にクリアし来春3月に発売予定の「EVE ZERO」を首を長くして待っている次第です。
では次回は小次郎編Tを公開予定なのでお待ち下さい!

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