小次郎編Z
…「僕はあなたに会いたかったんだ。 ……天城小次郎さん」
小次郎「!!」
…「はじめまして。僕の名前はセカンド」
小次郎「…………」
セカンド「でも小次郎さんにはこういったほうがわかりやすいかな……"テラー"って」
小次郎「!!」
小次郎「お前か………2日前にシャルケ商事を襲ったのは………」
フリーダ「!!」
フリーダ「小次郎、2日前にシャルケ商事が襲われたというのは聞いていたが、コイツが犯人なのか?」
小次郎「いや、断定はできない。 だが犯人はわざわざ警察ではなく内調のお偉いさんに電話をかけてテラーと名乗ったそうだ」
セカンド「へー、それを知っているなんてこの国の機関と繋がりが? てっきり僕と同じ一匹狼だと思ったのに」
小次郎「確かに群れるのは好きじゃないが、あいにくと望む望まないに係わらず俺にはそういったものとの繋がりがあるんだよ」
セカンド「法条まりな、そして桐野杏子……かな?」
小次郎「………」
小次郎「(しっかりと俺のことは調べているみたいだな)」
小次郎「どうやら俺様のことはよく調べてるらしいな! だがセカンドだろうがテラーだろうががそんなたわごとを聞いている暇は俺にはないぜ」
小次郎「(そう、わざわざコイツのほうから出向いてくれたのは考えようによっては好都合だ)」
セカンド「………なんだか僕はあなたに嫌われてるみたいだね」
小次郎「ああ、好きになる理由こそ俺様にはないからな。 俺に用があるんだったら直接俺に俺のところへ来ればいいのに、弥生まで巻き込みやがって」
セカンド「………弥生?」
小次郎「………とぼける気か?」
セカンド「別にとぼけちゃいないよ。 ただ身に覚えのないこと…でしてね」
小次郎「昨日アギヴと名乗って俺と会っただろうが!」
セカンド「昨日? アギヴ?」
小次郎「おいおい、もう忘れたのか」
セカンド「……アギヴ…昨日……ああ、小次郎さん。 ……昨日彼等の一人に会ったんですね」
小次郎「(彼等? 一人?)」
小次郎「(コイツ…何を。 確かにコイツは昨日おやっさんの墓の前に弥生と一緒にいた………)」
俺のとまどった様子でも見て取ったのか、目の前のセカンドと名乗った男は口元に笑みを浮かべる
セカンド「アギヴというのはご存知のとおり偽名ですよ……僕らの誰かが表に出たときのね」
小次郎「(偽名だというのはわかる……だが昨日俺と会ったことを覚えていないようなのはとぼけているようには見えないが……。 気になるのは他の仲間のことを示唆しているコイツの言葉だ)」
小次郎「その言い方だとまるで他にもお仲間がいるみたいだな」
セカンド「ああ、詳しく言えば"元"お仲間ですね。 僕はすでに彼等とは決別しているので」
小次郎「その元お仲間ってのはネオナチのことだろ?」
セカンド「うーん、半分正解で、半分不正解ですね」
小次郎「!?」
セカンド「僕たちはプロジェクト・ネクストの元にCプロジェクトとは別工程で生み出されたんですよ」
小次郎「!!」
小次郎「(Cプロジェクトだと!? それは真弥子の………)」
セカンド「そもそもプロジェクトによって生み出されたμ-101はエルディア前国王そのものを創り出そうという計画。 まぁ僕達が生み出されたのも似たようなものですが………」
小次郎「(μ-101…真弥子とは別の計画……)」
小次郎「えらくベラベラ喋ってくれるんだな。 俺たちに協力でもしてくれるってわけでもなさそうだが」
セカンド「ええ。もっとも僕が協力しましょうといったってアナタは信じてはくれないでしょ?」
小次郎「ああ、いくらお前が決別したといっても俺がそれを信じる根拠もないしな」
セカンド「いいですよ別に。それに僕は最初に言ったでしょ、天城小次郎さん……アナタに会いたかったのだと」
セカンド「もっとも………」
セカンドは言いながらその視線を俺の隣のフリーダに移す
セカンド「確か、ヘレンさんの妹さんでしたっけ? 姉がネオナチで、その妹がCIAとはね」
フリーダ「………その口ぶりだとどうやら、姉には会っているようね」
セカンド「ええ、つい先日この日本でね」
フリーダ「!!」
セカンド「彼女のほうは桐野杏子を狙撃しようとしていましたよ」
小次郎「!!」
小次郎「(狙撃しようと……していた? 変だな、狙撃は昨日実際に行われたはず。それとは別ということか……)」
小次郎「(と、いうことはこいつがネオナチと決別しているというのは………いや、まて! 俺は昨日おやっさんの墓地で実際にこいつに会っている。そして今日の昼間にはこいつが弥生を拉致して俺を呼び出してまでいる………やはりこいつがとぼけているだけか)」
小次郎「(だが気になるのは…こいつが言った『僕ら』という台詞………"ら"ってことは複数いるんだろうが…… いや、そもそも何故いまさらテラーを名乗る……)」
小次郎「(テラー……旧エルディア情報部の実行部隊にして、俺の師であった桂木源三郎が造り上げた暗殺者。だがそれも4年前のトリスタン号での一件を契機に消滅したはず……いや、俺はそれを確認したわけじゃないか……)」
小次郎「(だが、なぜいまさら名乗る。ネームヴァリュー? 確かにそれを聞けば震え上がるヤツは多いだろうが……… だが、こいつは創りあげられたと……―)」
小次郎「!!」
小次郎「(おいおい……今俺はとてつもなく嫌な想像をしちまったぜ…… あまりにも馬鹿馬鹿しくて、そしておぞましいことをな…)」
セカンド「クスッ……どうしました。なんだか怖い顔をしていますよ」
小次郎「……お前、さっき元お仲間だとか言ってたな」
セカンド「ええ。何度も言うようですが僕はすでに彼等とは袂を別っています」
小次郎「それじゃあなんでここにいる! お前の目的はなんだ!」
セカンド「言ったでしょ、僕はアナタに会いたかったと」」
小次郎「あいにくと俺は男、しかもお前みたいなガキに付きまとわれて嬉しいとは思わないな」
セカンド「フフ……話に聞いていたとおり面白い人ですね。だいたいガキだなんて、いったい僕がいくつに見えるんですか?」「
小次郎「(……俺と会ってから不気味なまでに笑顔のままだ。 だがこいつがいくつに見えるかって? どうみても17,8の小僧にしか………の)」
小次郎「………まさか1歳とでも言う気か?」
セカンド「本当に面白い人だ。この状況でそんな軽口がたたけるなんて」
小次郎「この状況? まるでこっちが不利だとでもいいたそうだな」
セカンド「試してみますか? もちろんそこのアナタ(フリーダ)に手伝っていただいてもかまいませんよ」
小次郎「…………」
小次郎「(こいつ……ハッタリじゃなく本当に自信があるようだな)」
小次郎「(やるか………いや、ここで危険を冒す愚は避けるべきだ。なにしろこの後の宴に参加できなくなったら馬鹿らしいからな)」
小次郎「(もっとも……コイツが仕掛けてきたら応戦するしかないが)」
俺は胸に仕込んでるグロッグの位置を改めて確認し、いつでも手を伸ばせるようにした
セカンド「………」
小次郎「………」
セカンド「やっぱしこんな陳腐な挑発じゃ乗らないみたいだね。せっかくゲームを楽しめると思ったのに」
小次郎「………」
小次郎「一つ聞いていいか?」
セカンド「どうぞ」
小次郎「お前は最初俺に会いたかった……そう言ったな」
セカンド「ええ」
小次郎「お前と俺は面識はないはずだ」
セカンド「………確かにアナタとの面識はなかった。 でも僕は会ってみたかった。シリーズの中では不良品とみなされたが、それなら僕のこの気持ちを確かめたかったんだ」
小次郎「?」
セカンド「強いていうならね……声が聞こえたんですよ、アナタに会えと」
小次郎「声?」
セカンド「そうそうさっきの質問にお答えしますよ。 僕がいったいいくつなのかね」
小次郎「いきなり話を変えたな…」
セカンド「別に意味はありませんよ。僕の伝えたかったこと、そしてアナタに会うという目的は果たしましたから」
小次郎「ほぉ〜。 だが『はい、そうですか。質問にも答えてくれたのでこのままお帰りください』とここで俺がお前を帰すと思うか?」
セカンド「ああ、お礼は期待していませんよ。 見るからに裕福そうには見えませんしね」
小次郎「(うぐっ)」
セカンド「僕等はCプロジェクトのそれとは違ってちゃんと16年という年月を重ねましたよ」
小次郎「………」
セカンド「まぁ信じる信じないはアナタの自由ですけどね」
小次郎「………」
セカンド「じゃあとりあえず僕の用事も済んだし……アナタもその左腕じゃあ満足いくゲームはできないだろうし、僕は失礼させてもらいますね」
小次郎「おいおい、『はい、そうですか』っていって帰すわけにはいかないってさっきも言ったはずだぜ」
セカンド「ええ。でも僕がアナタの希望に沿う理由もない………でしょ?」
小次郎「(どうする…ここで奴を素直に帰すか………いや、弥生の件もあるんだ……ここで―)」
俺はゆっくりと懐のグロッグに腕を伸ばす
小次郎「!!」
瞬間俺は背筋に寒いものを感じた
突然なにかが俺でなくフリーダに向かっている
俺は咄嗟にそう感じた
小次郎「くっ!」
俺はすばやく心の中で「悪い」と言いつつフリーダに蹴りを放つ
フリーダ「きゃぁぁぁーーっ」
フリーダはわけもわからず突然自身の身に起こった出来事に"可愛い"叫び声をあげながら床に倒れこむ
同時にさっきまでフリーダが立っていた場所を"何かが"通り過ぎていくのが目の端に映った
小次郎「野郎、不意打ちなんて味な真似を!!」
俺はフリーダが無事なのを確認すると同時にセカンドに向けて銃を抜き放ち狙いなど気にせずに2回引き金を引く
乾いた銃声が廃墟ビルの一室にこだまし、俺は怪我をした左手を添えて再び銃をセカンドに向け………
小次郎「なっ…………」
銃口の先にいるはずのセカンドはもはやそこにはいなかった。俺がフリーダを助け銃を抜こうとしていたあの一瞬の間に消えていた
どこかに気配を隠して隠れているのかもと思ったがそんな気配はない
俺は流れ落ちる冷や汗を拭い、あたりに気を配りながらフリーダに手を差し出す
フリーダも俺のその手を握り起き上がり、あたりの状況を確認している
フリーダ「ヤツは………消えたのか?」
小次郎「ああ。結局なにが目的かもわからずじまいだったがな」
フリーダ「………」
小次郎「ん?」
改めてさっきまでセカンドが立っていた場所に目を向けると、なにか四角いものが置かれている
小次郎「なんだこりゃ………CDケース?」
蓋を開くと中には一枚のCDが入っている
小次郎「なんなんだこりゃ一体。音楽でも聴けっていうのか?」
フリーダ「いや、それはDVDだな」
小次郎「……………」
フリーダ「間違っても音楽用CDプレイヤーなどにいれるなよ………」
小次郎「あ…当たり前だ! こ、この俺様ともあろうものがそんなことぐらい………―」
フリーダ「とてもそのようには見えないがな」
フリーダの冷ややかな視線を他所に、俺にはセカンドが残していったこのDVDの中身が気になった
なぜヤツは俺の前に現れたのか
そしてヤツの目的は………
俺の目には先ほどセカンドがフリーダに向けて放たれたナイフが映っていた
18:42 -あまぎ探偵事務所-
小次郎「おーぅ、帰ったぞー!」
フリーダ「おじゃましま………―」
俺が事務所に帰ってきたとき中はやけに静かだった
本来なら氷室が出迎えに出てくるはずだが………
フリーダ「小次郎……ミス恭子は?」
小次郎「帰ったってことはないだろう。 だがいないはずもない………」
小次郎「(ってことは、あんまり考えたくはないが………)」
俺は懐のグロックに手を伸ばす
そう、考えられるのはネオナチに氷室が拉致された可能性がある
小次郎「(弥生もすでにやつらの手に落ちてることだしな………)」
俺はあたりを警戒しながら進む。やつらの置き土産がないとは限らないからだ
俺とフリーダは一言も発せずあたりに気を配る。静寂が事務所の倉庫内を包み、聞こえてくるのは外の波の音……そして規則正しい穏やかな寝息だった
小次郎「……………」
小次郎「(………寝息?)」
そう確かにここからは死角だがソファのほうから寝息が聞こえてくる
俺は慎重に歩を進めソファに近づき、ソッと覗き込む
小次郎「…………」
俺は構えていた銃を降ろし嘆息する
フリーダ「………小次郎?」
フリーダも俺のそんな様子をいぶかしんで声をかける
小次郎「やれやれ………緊張感のない助手だ」
ソファには縛られているとか傷を負った痕もまるで見受けられない状態で穏やかに寝息を立てている助手の氷室が横たわっていた
たまに穏やかな寝息の中で「うぅっ…」と唸っているように見えるがおそらくは気のせいだろう
外はあんなに騒がしいというのに、俺様の事務所は平和だなと俺は思う
………だが、指定された時刻までは後3時間を切っていた
to be continued
まりな「いよっ、大統領! 半年振りのEVE小説更新お疲れー」
ぱら「………褒めてんのかけなされてんのか分からんが……」
まりな「もちろん……両方よん♪」
ぱら(泣)
まりな「それにしても今回セカンドと小次郎が初めて会ったわけね。そして対決のオマケつき」
ぱら「そう! 正直ここまでかかるとはおもわなかったよ書いててさ(笑)」
まりな「……んで、こいつの正体ってなんなのさ?」
ぱら「そ…それはまだ教えられるわけないぢゃん」
まりな「そんなこと言って。どうせまたなんにも考えてないんでしょ」
ぱら「そ、それはない! なにしろ執筆時にセカンドの設定はすでに出来上がってたんだからさ」
まりな「へぇー。じゃあちょっと私にだけ教えてよ」
ぱら「ったく、しょうがねーなー。 ちょっと耳かせよ」
まりな「変なことしないでよ」
ぱら「しないしない」
まりな「ったく…………」
ぱら「…………フゥ〜〜〜〜〜〜〜〜(息吹)」
まりな「(ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ)」
ぱら(爆笑中)
まりな(怒りのオーーーラ全快)
(この後怒りのままに作者は生き地獄を味わいこのあとがきの真相は次回へつづく…………のかな?)
杏子は雄二の助力を得、事件解決に向かう
そしてモニカが見つけた情報とは?
だが一方では黄に接触を図る小次郎
果たして小次郎は弥生を取り戻せるのか?
次回 杏子編Z!
次も読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ♪
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