テラー編 T

−PM3:26−


    カン カン カン カン

階段を上る無機質な音が響く。


    ガチャッ

    ギィィィィィ−−


    バタンッ


あたりを見渡すが誰もいない。


   ザッ ザッ ザッ

  
ドンッ


  ジィィィィーーーーー


バッグから取り出されたのはライフルの銃身であった。


   カチャ

  カチャカチャ

  ガチャン!

  キリキリキリキリ


そしてそれを順序良く組み立てる。


   スチャッ!


スコープ越しに狙いを定める。

スコープの先には喫茶店でコーヒーを飲んでいる女が捉えられた


…「(ニヤッ)」


ターゲットを確認し引き金に手をかける

これでもう引き金をひくだけでスコープに写っている女はこの世から消えてなくなる。

そう思うとこのスナイパー(狙撃手)の表情には自然と笑みさえこぼれてきた。

そして引き金に手をかけ

引き金を………!?


…「へえ〜モーゼルSR93、いいライフルですね。それに彼女があなたのターゲットだったのですか、安心しました」

…「!?」


不意に背後から緊張感のない、というか遊びに来た子供のような声がした。


…「おっと動かない方がいいですよ、このナイフは切れ味がいい」


いいながら首に突きつけたナイフに少し力を込める


…「……いつのまに? 確かにこのフロアには人の気配はなかった」

…「たとえ視界に入っていたとしても僕の存在を感じられなければ気づかれることはないんですよ。…もっとも僕は人ではないのかもしれませんが」

…「人ではないだと?…貴様何者だ?」

…「あれ?あなたの上司から聞いていませんか?彼は僕のことをよ〜く知っていますよ。コードネーム ブラッディ・ベルことヘレン=ファルクさん」

ヘレン 「!?」

ヘレン「貴様なぜ私のコードネームだけでなくフルネームまで」



驚きのため相手を確認しようとするが、首筋に立てられたナイフの力が更に込められる。


…「駄目だよ動いちゃ。刃先があと5cmも入ればあなたは確実に死ぬ。死にたくなかったら僕の顔をみようとはしないことだ。僕の顔はまだ誰も見てはいけないんだ」

ヘレン 「…貴様はいったい?」

…「本当に聞いていないんですか?僕のコードネームはテラーですよ」

ヘレン「テラーだと!しかしテラーは3年前……!?ま、まさか!」

…「やっとわかりましたか。そう僕は単なるテラーというコードネームの駒じゃない。仲間内ではセカンド、もっとも口さがない連中はレジェクトゥ(不良品)なんて呼ぶけどね」

ヘレン「フンッ、そのレジェクトゥが私に何のようだ?エルディアから逃亡したと思ったらこんな東洋の国にまで来ていたとわな。てっきり今頃はアメリカででも震えてるとおもったよ」

セカンド「フフフ、言うね」

ヘレン 「そうか!3日前のあれも貴様の仕業だな」

セカンド「ご名答♪」


愉快そうにささやく


ヘレン 「フンッ、わざわざ殺しの現場にナイフを残していくというバカの一つ覚えみたいなやり方はテラーだけだからな。あれは何の真似だ?」

セカンド「別に…フフフ…単なる前夜祭、いやメッセージかもね。これからはじまるゲームのための」

ヘレン 「ゲームだと?貴様一体何を考えて」

セカンド「僕よりあなた方です。あなた方こそ一体何を考えて彼女を狙うんです?」


視線をターゲットがいるだろう先に向ける。


セカンド「世界を救った救世主、内調捜査官桐野 杏子を…」

ヘレン「……応える必要はない」

セカンド「…まあ別にかまいませんよ。僕は僕の楽しみを優先させますから」

セカンド「…ただ僕の邪魔をしようなどとはくれぐれもなさいませんようにお願いします」

セカンド「僕の邪魔をした場合にはあなた方のここの国での拠点を…・どうするかはわかりますよね?」

ヘレン「…わかった。だが貴様こそ今度は我々の邪魔はするなよ」

セカンド「フフフ、考えておきます」

セカンド「おや?長話をしていたら彼らが出てきちゃった。じゃあ僕はもういくからまた会おうね」

セカンド「あ、そうそう、あなたはしばらくはここにいて下さいね」






………………5分後

彼女、ヘレンはまだ狙撃の姿勢を保ってはいるがそのスコープの先には何も捉えていなかった。

    ガチャッ、


不意に持っていたライフルを落す。


ヘレン 「……ハァ、ハァ…」

ヘレン「…わ、私が………・ブラッディ・ベルの名をもつ私が震えて動けなかったなんて」

ヘレン「………あ、あれがテラー・シリーズの欠陥品だっていうのかい。…・・じょ、冗談じゃない」



ドッと噴き出してくる汗に、息も絶え絶えながらつぶやき、彼女にはただ地面に落ちた自分の汗しか目に映らなかった。


                      to be continued


え〜なぜか杏子偏Tを書き終える前にテラー偏Tが書き終ってしまいました。
プロローグに登場した青年(?)は一応コードネームセカンド、本名未定といったところです
今回は皆オリジナルキャラなので書くことの早いこと早いこと
今日授業中に考えて帰ってから速効で書き上げたので執筆にかかった時間は1時間もかかっておりません
それに今回登場の女(なんです)スナイパー ヘレンちゃん。ブラッディ=ベルなんてなんかカッコいいんだかわるいんだかわからないコードネームなのですが、私的には気に入っております。
ちなみにキャラは機動戦士ガンダム「逆襲のシャア」に登場したレズン=シュナイダーを元にしております
彼女の名台詞は「ロンド=ベルなら鐘を鳴らしてりゃぁいいんだよ」です。
さて次回こそ杏子偏TをUPさせたいと思います

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