小次郎編V
PM5:00−セントラルアベニュー−
もう夕方なのであたりには帰宅する会社員などがちらほらと見受けられる
その光景のなかに1人たたずむ小次郎
果たして彼は何を考えているのか?
小次郎「……………………」
小次郎「…おらん…」
小次郎「…奴に連絡を取ろうとしてすでに1時間以上が経つ…」
小次郎「しかしあいかわらず携帯はつながらん……留守電のままだ」
小次郎「……………………」
小次郎「こいつは困ったことになった」
小次郎「…なぜならあいつが見つからなきゃ話が全く進まん…・」
ぐるるるるるるる〜
小次郎「とうとう腹まで鳴り出した…」
小次郎「しかしなにか食おうにも金もない」
小次郎「なぜなら持っていた小銭は全部奴への電話代、しかも留守電に消えてしまった」
小次郎「え?そんなもので消えるかって?甘いな…」
小次郎「俺はもう奴に20回近く電話を入れているがすべて留守電だったのだ、どうだまいったか!」
サラリーマン「あの〜さっきからどうしたんですか?」
小次郎「いや俺の金がないということを読者に説明していたのだ」
サラリーマン「そうですか。私は昨日給料日だったので近くのBARで一杯やって帰るんです」
小次郎「そうかそいつはありがたい、では俺も行こう」
サラリーマン「なぜ私があなたに奢るんです?」
小次郎「わかってるよ言ってみただけだ。……で、ホントに駄目なのか?」
サラリーマン「…駄目です」
小次郎「さっさと行っちまえ!」
小次郎「…たく、ああゆう奴には今度俺様のこの拳をプレゼントしてやらねばな」
小次郎「…しかしほんとに奴はどこにいるんだ?」
小次郎「ったく」
ジャラッ
小次郎「今のは俺の全財産が入っている小銭入れを開けた音だ」
小次郎「……しかし見事に小銭がなくなったな……」
小次郎「入っているのは1円や5円ばかりだ……100円どころか10円さえもない…・」
小次郎「…しかもなぜかクリップや安全ピンといったわけのわからんものまで入っているぞ」
小次郎「……10円…どこかに10円、10円はないか!」
…「はい小次郎、これ10円ネ」
小次郎「おお!すまないな黄、これで電話がかけられる」
黄「誰にかけるネ?」
小次郎「そりゃもちろん黄に……って………一体お前はいつからそこにいたんだ?」
黄「え〜と、小次郎のお腹が鳴ったあたりネ」
小次郎「ならなぜさっさと声をかけん?」
黄「…だって小次郎こんな往来の通りでブツクサブツクサ危なくて声なんてかけれなかったネ?」
小次郎「一体誰のせいで声をぶつくさ言ってたか己はわかっているのか!」
黄「わからない…誰のせいか?」
小次郎「お・ま・え・のせいだ!夕方からずっと連絡とろうと電話してたのにずっと携帯留守電だったぞ」
黄「へ?」
ゴソゴソ
小次郎「(俺にいわれて確認とってやがる)」
黄「あいやー!ホントに留守電がたくさん入っているネ〜」
小次郎「一体お前はなにをしてたんだ?」
黄「へ?何ってシアターでMovieを見ていたネ」
黄「映画館の中では携帯を鳴らさないこと、これマナー ネ」
小次郎「…ク、まあいい。やっと見つけたわけだからな」
小次郎「(この目の前の女こそが俺が探していた情報屋だ。こいつは女だてらになかなか正確な情報を仕入れて俺に提供してくれる)」
小次郎「こいつとは3年前のあの事件以降、まだ俺がグレンに代わる新しい情報屋を探している最中にやっと見つけた情報屋だ」
小次郎「きっかけはこいつが飼っていたペットの犬探しの探偵を探している最中俺を見つけ、そこで互いの利害が一致したというわけだ」
小次郎「以後俺の情報源となってこの間のLost One事件のときも、日本でのアメリカの動きを俺に教えてくれたのもこいつというわけだ」
小次郎「全くどこから情報を得てくるのか知らんが正確な情報を教えてくれる」
黄「……・小次郎?タレに説明してるネ?」
小次郎「ウム、これを読んでくれている読者様って、やつだ」
黄「フーン」
黄「じゃあ私からも自己紹介するネ!」
小次郎「せんでいい、せんで」
黄「わたしの名前は黄。もちろんこれは実名でなく偽名で、正体は謎の中国人ネ」
小次郎「(俺の言葉を無視した挙げ句、自分で謎の中国人と名乗ってやがる)」
黄「小次郎とは3年前に互いの利害の一致からやむなく情報屋さんになったけど…・それがわたしのこの稼業の今のところ唯一の汚点ネ」
小次郎「おいおい、やむなくとはなんだ、やむなくとは!」
小次郎「それにお前の汚点が俺のせいとはいったいどういうことだ、あ〜?」
ビシッ!
黄が小次郎に面と向かって指差す
黄「なにいうか小次郎!」
黄「アナタこの間の情報料まだ払ってないよ!わたしでなかたらアナタ今ごろ中華の材料か、長江に浮かんでいるネ」
小次郎「グ、俺だってあの仕事のギャラはまだもらっていないんだ。他にも金払いの悪い奴なんざごまんといるからな」
***************
…「ハックション」
男「教官風邪でもひいたんですか?」
…「…どうせどっかのルンペン野郎がわたしの悪口でも言っているんでしょ」
男「ハ、ハア」
***************
黄「それはそれ、これはこれね!」
黄はかまわずにまくしたてる
黄「それに小次郎の金払いが悪いのは今に始まったことじゃないね」
黄「たいてい延納か、さらには値切ろうとまでする。これほど金払いの悪いお客さん珍しいよ」
小次郎「…・なら相場の2倍、3倍は吹っかけてくるお前は何なんだ!」
ズズズ……
黄「ああ〜お茶はやっぱり飲茶にかぎるあるね〜」
ズズズ……
小次郎「ごまかすな。だいたいその飲茶はどこからでてきたんだ?」
黄「それはまあ置いといて…」
黄「いい情報は質がいいぶんその分値も高くはる。これ商売の鉄則ネ」
小次郎「(ク、こいつ開き直りやがった。しかしここで引き下がっては今後も高値で吹っかけられる)」
小次郎「それにしたって相場というものがあるだろう、相場というものが」
黄「他人は他人、わたしはわたしネ。他人の敷いたレールには乗らないよ」
小次郎「その考えには同意するが、俺の言いたいのは高すぎるということだ」
黄「なら小次郎もわたしに払えるよう、1件の依頼料高く設定すればいいネ!そうすればノープロブレムよ」
小次郎「…残念だがそんな客はみんな弥生のところに持っていかれちまってる。俺のところは迷子のペット探しか浮気調査がせいぜいなんだよ」
黄「嘘いっちゃ駄目ネ!小次郎の事務所それだけじゃやってけないから文書偽造の違法な仕事もやってるでしょ!」
小次郎「うっ…・な、なぜそのことを?(法条だけじゃなくてこいつにまで知られているのか…まあ当たり前だが)」
黄「それで結構儲けているはずネ」
黄はしてやったりという笑みを小次郎に向けながら言う
小次郎「グ、だ、だがオレはそんなに法外な金額は突きつけちゃいないぜ」
黄「法外な値段を少し上回っているだけだけどネ」
小次郎「………・」
なにもかもお見通しの黄の前に小次郎は押し黙る
黄「ま、小次郎は(依頼の)質より量を選んでいるわけネ」
小次郎「それは氷室の考えであって俺のではない」
黄「それってつまり彼女が事務所の運営を握っているわけか?」
小次郎「(グサッ)おい黄、いっとくがあの事務所の所長はこの俺様だぞ!」
黄「形だけの…・ネ」
小次郎「(グサッ、グサッ)」
黄「まあ小次郎はからかったし、わたしの紹介は終ったから帰るネ、再見!」
小次郎「ちくしょ〜今度あったら覚えてろ…・って、まて、まて〜い!俺はお前を探していたって言っただろうが!!」
黄「…?あいや〜すっかり忘れてたネ」
小次郎「(こ、こいつホントにただ単に俺をからかってやがっただけか…)」
黄「…で、何ネ?」
小次郎「もう作者のアイデアが…もとい時間がないから次回だ…といいたいが」
小次郎「今回はそうも言っておれん」
黄「アイヤー!今回は浮気調査とか迷子のペット探しじゃないのカ?」
小次郎「ウム、今回お前に聞きたいのは……ってこんなことはこんな往来じゃ話せん。場所を移すぞ」
黄「了解ね!」
PM5:30−某ファミレス−
店員「へいらっしゃい!2名様でいらっしゃいますか?」
小次郎「うむ、そうだ。3人に見えるか?」
店員「いや〜こいつは一本取られましたな。で、お煙草はお吸いに?」
小次郎「いや、俺は吸わんが…黄お前は吸うのか?」
黄「すう?すうってなにをネ?」
小次郎「煙草だ、た・ば・こ」
黄「お〜シガレットネ!もちろん吸わないネ!」
小次郎「…・だ、そうだ」
店員「へいわかりやした。ではこちらへ」
小次郎「どうでもいいがお前はいつもそんな口調なのか?」
店員「ヘイ!あっしはいつも24時間この口調です!」
小次郎の前にはコーヒー、黄の前にはオレンジジュースが並べられてある
誰の払いかって?
それは聞くまでもない!
黄「で、わたしに聞きたいことってなにネ?」
ジュースを飲みながらさっそく切り出す
小次郎「うむ時間もないので単刀直入に聞くが…」
小次郎「最近この日本に殺し屋はやってきているか?」
黄「きているネ」
小次郎「!?」
黄「しかもとびきりのが今のところ2人ね!」
小次郎「2人?1人じゃないのか?」
黄「実は一人の方はわかているけど、もう一人の方は未確認状態ネ」
小次郎「未確認だと?」
黄「そうネ」
小次郎「どういうことだそれは?お前の情報網でもわからないのか?」
黄「それがいままでわたしの情報網には引っかからなかったけど最近急に出てきたネ」
小次郎「急に…だと?」
黄「そう、わかっているのは銃とかは使わずにナイフを使う殺し屋ネ…」
小次郎「!?」
黄「しかもそのナイフを殺しの現場に残すという粋なことをしていくネ」
小次郎「そいつはまるで…」
黄「そう、まるで3年前に現われたテラーというのにそっくりネ」
小次郎「だがテラーは…・」
黄「そうテラーという殺し屋は存在せず、エルディアという国の特殊暗殺部隊で、しかもそれも3年前に壊滅していたはずね」
小次郎「………(そう、テラーはすでにいない…それなのに再び現われた)」
小次郎「ただの模倣犯という可能性はないのか?」
黄「そうだとしてもとびきりの腕ということに変わりはないネ」
小次郎「…・ああ」
黄「もう一人の方はわかっているけど……聞くか?」
小次郎「ただならな」
黄「…しっかりしているネ」
小次郎「まあな」
黄「もう一人の方はドイツからの訪問者で、通称ブラッディ=ベルと呼ばれているネ」
小次郎「ブラッディ=ベル?」
黄「こっちはテラーとは違って、銃器、主にライフルを使った殺し屋ネ」
小次郎「そいつはまた普通の奴だな」
黄「最近ではドイツで先におこたイスラエル大使の暗殺もそいつの仕業とされているね。他にもヨーロッパをはじめアメリカなどと世界各所でお仕事に励んでいるネ」
小次郎「ふむ、だがこいつは俺の知りたい情報ではないな」
黄「まあ小次郎にはネオ=ナチなんて関係ないからネ」
黄はストローを咥えながら呟く
小次郎「!?……今なんて言った?」
黄「へ…ネオ=ナチいうたネ」
to be continued
杏子編がUPすると先に予告しておりましたが執筆の都合上
小次郎編を先にUPしました
杏子編は完成未定となっております
あしからず……・
多分テラー編Uが先にUPするのではと思います
小次郎「ふい〜まさか連ちゃんになるとはおもわなかったぜ」
黄「ほんまやな〜」
小次郎「おい?なぜお前急に関西弁なんだ?」
黄「そんなんうちは知らん。もう終ったよって先に帰らせてもらうで」
小次郎「あ、おいちょっと!………・帰ってしまった……しかしあいつはいったい?」
小次郎「それにしても先に杏子編があがるとかいってたから俺様はのんびりしてようと思ったのになんで小次郎編が先なんだ?」
…「それは作者の都合だからよ!」
小次郎「おわ!お前いつのまに?」
…「だって出番なくて暇なんだもん」
…「いまだに…扱いだし」
小次郎「お前は出てくると話がややこしくなるからな〜」
一同「ウンウン」
小次郎「…それにしてもさっき言ってた作者の都合とはどういうことだ?」
…「それはね、笑っちゃう話なのよ。杏子編で話しに使う回想シーンでね」
小次郎「フムフム」
…「Lost Oneでわたしがあなたの事務所に杏子と他1名連れて押しかけたときあったでしょ?」
小次郎「あ〜、あったあった!確かお前が『はろはろ〜』とかいって押しかけたときか!」
…「そうそれそれ!そこのシーンがどうしても思い出せないそうなのよ」
小次郎「なら俺様の大活躍を思い出すためにもまたLost Oneをやり直せばすむじゃないか」
…「それがね、Win版Lostは作者の友人に貸したままで、SSのLostをやろうにも、今度はソフトはあってもハードをこれまた友人に貸しているっていう落ちなのよ」
小次郎「なにー?するとその友人とやらが返さない限り…」
…「そう、杏子編は再開されないということなの」
小次郎「つまり俺様の出番は増えるけど、疲労度も増すと…」
…「その上作者はあなたのショートストーリーを考案中だそうよ」
小次郎「なんじゃそりゃ〜!」
小次郎「…おい…!こうなったらお前も早く出てきて俺様の負担を減らせ!」
…「考えとくわ!じゃね〜」
小次郎「あ!おいこら待てほ、じゃなくて…!!」
パラサイト「はてや小次郎の命運はいかに!」
小次郎「…どうなるんだ?」
パラサイト「チャンチャン♪」
小次郎「おいこらまて!」