杏子編W
18:30 −シャルケ商事前−
ハァー、ハァー……こ、ここね…・
私と葵は本部長から連絡のあった現場へと急行してきた
葵「桐野さん、あそこ!本部長がいるわ。行きわよ」
葵が指差す方向には確かに本部長がいてなにやら指揮を執っていた
葵さんはそっちへ一目散に駆け出していった
甲野「おおー、きたね〜」
葵「本部長、現状は?」
甲野「うん、それなんだが……それより桐野君はどうしたんだい?」
葵「ほっておきましょう。おおかた内勤でサボれるのをいいことに訓練らしい訓練をしてないからこうゆうことになるんです」
杏子「(う゛っ……口惜しいけど言い返せない……)」
甲野「おいおい杏子くん……君仮にも内調の捜査官なんだからそんなことじゃ困るよ…」
葵「ハッキリ言って足でまといね」
もはやなにも言い返すことのできない私
確かに内勤時代はデスクワークのうっとうしさから最初のうちは訓練を続け(教官がまりな先輩じゃなかったから)、だけど内勤の仕事が滞るようになるとそんなことやってる暇もなかったのよね……
なにしろコンピュータ使えなくちゃ仕事にならないことが大半なのに
……私ったらコンピュータと相性が悪いのかしら?
使用不能にさせたコンピュータが7台……
しまいには『桐野にはコンピュータを使わすべからず』なんていう張り紙まで……
雄二くんなんかそのこと聞いて『当然だ』みたいなこというんだもん
とにかく半年のデスクワークは私の捜査官時代の体力を著しく低下させていた
甲野「まぁー今はここの検証が先だ」
葵「例のナイフ使いが現われたと聞きましたが?」
甲野「うむ、中では銃を持った屈強そうなガードマン達がみなナイフで切り裂かれて死んでいたよ」
葵「銃をもった…ですか?」
甲野「そ、しかも連中の持っていた銃の大半がワルサーなんだ」
葵「それって……」
杏子「(なにかしら?話がいまいち見えないわ)」
葵「…つまりはここが…」
甲野「…うむ、奴等の拠点の一つだったようだね。まったく公安でもここはノーマークだったよ」
杏子「あの〜本部長……ちょっとよろしいでえすか?」
私は恐る恐る本部長に尋ねる
甲野「あ〜どうしたの桐野くん?」
杏子「…奴らっていったい……」
甲野「…………」
葵「……………」
……なんか……時が止まってしまった…わ…
葵「……あなた一体なにを聞いてたの?これまでの話の展開から出る答えは一つでしょうが!」
甲野「奴等っていうのはね杏子君。君達が内調本部で聞いていたネオ=ナチのことなの。で、ワルサーっていうのはドイツ製の銃なんだよ」
私はこのときやっと全てのことが一つに繋がった
杏子「そっか、つまりここはネオ=ナチの日本の拠点だったんですね!」
甲野「そういうこと」
葵「あ〜なんでこんなのとコンビを……わたしのキャリアが〜」
あら?葵ったら泣きながら言ってるわ
杏子「でもなんでネオ=ナチの拠点なんかに例のナイフ使いが現われた、いや、現われたとわかったんですか?」
甲野「うんそれなんだがね〜……実は本人と思われる人物から電話があったんだ」
杏子「?」
葵「!?」
葵「それはいつですか?」
甲野「うん、君達が帰った後ちょっとしてかな?実はその前にもある人物から電話があってね〜」
杏子「(ある人物?だれかしら)」
甲野「君達もよ〜〜〜〜〜く知ってる人物だよ」
よ〜〜〜〜〜く知ってる人物?…誰かしら…え、でもちょっと待って!
本部長の顔がちょっと笑ってる…ってことはあんまり考えたくないんだけど、もしか…して…
杏子「それってまさか……」
甲野「そのまさかだよ」
本部長は私達の反応を面白がっていう
気のせいか葵の表情もちょっと引きつってるわね
私はいったいどんな表情になっているのかしら……想像したくないわ
***************
…「はろはろ〜」
甲野「まりなくん……かい?」
まりな「ピンポーン!お久しぶりね本部長。どう元気でやってるの?」
甲野「そりゃ私はいつも通りだよ。どうしたんだいいきなり電話なんかかけてきたりして?」
まりな「いや〜最近作者の怠慢で出番が少なかったからこうゆうときにでもでとこうかと思って」
甲野「なんだねそりゃ?」
まりな「っていうのは冗談でほんとはなにか胸騒ぎがするのよね。そっちでなにか起こってる?」
甲野「い、いや〜別に何にも起きてないよ。それよりまりなくん、そっちでの教官研修はどうなの?即戦力になりそうな生徒はみつかったかい?」
まりな「ぜ〜っんっぜん駄目!どいつもこいつも使い物になるにはまだまだかかりそうよ」
甲野「ハァ〜、ただでさえうちは規模を縮小されつつあるから優秀な捜査官がほしいところなんだよね〜」
まりな「なに?またなにか事件があったの?」
甲野「おっと!君は元捜査官とはいえ今は教官という身分なんだからおいそれとうちが担当している事件をペラペラ喋るわけにはいかないよ」
まりな「まぁ〜いいじゃない。私と本部長との仲ってことで……・言わないと帰ってから……ヒゲひっぱるわよ…」
甲野「ちょっとまりなく〜ん。元とはいえ仮にも僕は上司だよ。組織に属する以上は上司をいじめちゃいかんよ〜…」
まりな「そこは私と本部長との仲ってやつじゃない♪」
甲野「…ホントに?…」
まりな「マジ☆」
甲野「……ハァ〜、ちょっと待ってね……(カチリ)…・よしこれでOKだ。今盗聴をOffにしておいたからこれで話せるよ」
まりな「さっすが本部長!話が早くて助かるわ…・で今度の事件っていうのはいったいどういうのなの?」
甲野「現段階ではハッキリしたことはわかっていない」
まりな「ちょ〜っと本部長(ガン、ガン)」
甲野「わ〜まりなくん。そっちで受話器を叩かないでよ」
まりな「だって本部長がふざけてるんだもん」
甲野「あのね〜……真面目に話そう、現段階ではハッキリしたことはわかっていないがまたエルディアが絡んでいる……」
まりな「!?」
まりな「……また…・EVE…・いえ、真弥子ちゃんが?」
甲野「いや、今度は“テラー”が係わっている可能性が高い」
まりな「テラー?でもテラーってあの時に壊滅したんじゃないの?」
甲野「うん、僕もそう思っていたんだけど、つい3日前テラーと思われる殺しがこっちで起こったんだ」
まりな「テラーと思われる?どういうことそれ」
甲野「現場には遺体と共にその凶器と思われるナイフが見つかった。それもエルディア製のね」
まりな「……」
甲野「ナイフのことといい、遺体の切り口などからもテラーの可能性が高いんだ」
まりな「テラーを真似た模倣犯の線も高いんじゃない?だってあのナイフってエルディアじゃ簡単に手に入るみたいだし」
甲野「う〜ん、それとまりなくんネオ=ナチって知ってる?」
まりな「ネオ=ナチ?あのドイツの極右組織の?もちろんこっちにも支部が隠れみのにしてあるとはいえ存在してるんだから当然知ってるわよ」
甲野「実はそのネオ=ナチの殺し屋さんが同時期にこっちにきてるんだよね。そしてその殺し屋さんはエルディアでしばしば目撃されている…・これって…」
まりな「ええ、偶然と考えるべきじゃないわね」
甲野「まあそっちは公安が追っているんだろうけど、うちはテラーと思われる殺しの事件を担当しているんだよ」
まりな「で、誰が担当してるの?…まさか…・」
甲野「そう、そのまさかだよ」
まりな「ちょっと本部長本気〜?杏子にははっきりいってまだ荷が重いわよ。だいたいあのLost One 事件だって私や他の人の協力があってほとんど奇跡に近いような結果なのよ」
甲野「…・それはちょっと言い過ぎなんじゃない?彼女だって彼女なりにがんばってるんだから」
まりな「だって私達の仕事は経過でなく結果でしょ?いくら努力しても結果が悪ければそれでお終いよ」
まりな「……それに教え子を失うのはもうあいつだけで充分なのよ……」
甲野「……見城くん……かい?」
まりな「……」
甲野「まりなくん、君の気持ちは分かる。彼のときは私だって部下を失っているんだ。だが私達の仕事は常に死と隣り合わせの任務が多いということも事実なんだ」
甲野「私達の仕事は遊びじゃないということは君が一番よく知っているだろう?」
まりな「そうね……・私なに言ってたんだろ。忘れて本部長」
まりな「それに杏子だって一応私の教え子なんだからそう簡単にやられるはずがないしね」
甲野「そう。でもまぁ〜僕もそのへんはわかっているつもりだから杏子くんには水見くんと組ませることにしたよ」
まりな「葵と?アイツすっごい嫌がってたんじゃない?優秀なんだけど、変にプライドが高いのよね…そのプライド直そうと訓練期間いろいろ指導してあげたんだけど結局ますますプライドが高まっちゃったのよね」
甲野「……ま、まぁーとにかく彼女たちには一緒に組んでもらって明日から捜査を始めるよういってるけど、いまごろは彼のところじゃないかな?」
まりな「彼!?…まさか」
甲野「そうその(プップ…プップ)…・おっとキャッチホンだ、悪いがまたねまりなくん」
まりな「あっ、ちょっ…」
甲野「はい甲野だが」
…「………」
甲野「……?……もしもし?」
…「…・内閣調査室の本部長、甲野さんだね」
甲野「あ〜そうだが君はいったい?」
…「いまここで人が死んでいる…・」
甲野「死んで?いったい君はそこでなにを……、いやそれより君は誰だ!」
…「………テラー……」
甲野「テ、(コトッ)あ、おいちょっと!」
甲野「ん?……回線は切られていない……・」
***************
甲野「………というわけで逆探知してここを突き止めたってわけ」
杏子「……まりな先輩にも話しちゃったんですか?」
甲野「きみだってわかるでしょ、彼女がどういう人か」
杏子「………(わかりすぎて怖いわ……)」
甲野「まぁー、そんなわけで当然テラーを名乗ったとおもわれる者はいなく、変わりに中には死体の山が築かれてるよ……見てく?」
本部長はわざと意地悪そうに尋ねているように見える
そんなもん写真で見るのだって嫌な私は当然私は首を横に振る
が、
葵「えぇ、見させて頂きます」
杏子「げっ!葵さんったらあんなの見たいわけ?やめましょうよ、今晩眠れなくなるわよきっと」
私が忠告すると、葵は頭を抱えてうずくまってしまった
杏子「…(やっぱし想像して見たくなくなったのかしら)」
甲野「………」
葵「あ、あ、あ、あんたねぇ〜……・私達がこの事件の担当だってわかってる?」
杏子「そ、そりゃ〜わかってるわよ」
葵「だったらなおさら私達が追っている犯人為した犯行現場ぐらい見とかなきゃ駄目でしょーが」
う゛っ、正論をつかれて私は反論できない
杏子「そ、それは〜………」
葵「…本部長、いまからでもコンビを変えるって………できません…・?」
甲野「…できないねぇ〜…」
葵「あぁ〜…・わ、私のキャリアがぁ〜」
葵は泣いている……なにもそんなに泣かなくたって……・
杏子「じょ、冗談よ。や〜ねぇ〜葵さんたら本気にしちゃって……私だって内調の捜査官なのよ」
とにかく私は笑ってごまかした
葵「……私には本気に聞こえてけど……」
甲野「まぁ、現場を見に行くんだったら見てきていいけど、まだ現場は検証中だからくれぐれも気をつけてね」
杏子「あ、はい…………あれ?」
ふと本部長のさらに後方に視線を移すとそこには見知った人物がいた
甲野「ん、どうしたんだい杏子くん?」
杏子「いえ、あそこにいるの……ひょっとして」
私の言葉に本部長も葵もそっちを見やると、そこにいた人物とも目が合った
甲野「おや…彼は?」
葵「?」
小次郎「あっ」
いつのまにかいたのか、天城 小次郎さんがそこにいた…
…to be continued
パラサイト「……………」
パラサイト「……………」
まりな「はろはろ〜♪」
パラサイト「……………」
まりな「あらあらどうしちゃったの?ボケーっとして」
パラサイト「おおう!?まりなか。いったいいつからそこに?」
まりな「たったいまだけど…・どうしちゃったの?」
パラサイト「イヤね、そろそろこの“EVE〜Endless
狂想曲〜”も終わりかとおもうとなんかボケーとしちゃって」
まりな「へ?もう終っちゃうの?」
パラサイト「正確には1st Dayが終ったら休載にしようとおもってるんだ」
まりな「どうしてよ。やっと私が『…』からちゃんと名前が出るようになったのに」
パラサイト「早い話がネタ切れ…・だから充電期間を置こうと思って」
まりな「なるほどね…・で、どのくらい置くの?」
パラサイト「3,4ヶ月かな?」
まりな「なるほどね。で、その間はあなたなにするの?」
パラサイト「別の小説書く!」
(チャキッ)
パラサイト「どわわ〜!なんでお前はすぐに銃を抜く!待て、はやまるな!!」
まりな「このまりなさまが登場する作品を差し置いて他の小説を書くですって〜」
パラサイト「だから、ネタ切れの間を埋めるためだって!」
まりな「……なら何書くのよ……はっ、まさかあなた18禁なんて書くんじゃないでしょーね?止めときなさい、あなたには無理よ」
パラサイト「……そこまでハッキリ言うか?でも18禁なんてオレの範囲じゃないから書かん!もちろんラブ・コメなんてもってのほかだぞ」
まりな「じゃあなに書くの?」
パラサイト「へっへへへ、良くぞ聞いてくれた!オレの次回作はSPRIGGANだ!」
パラサイト「タイトルもすでに決まっているぞ!タイトルは『今そこにある危機』だ!」
まりな「……それNさんの作品じゃん……それって盗作よ」
パラサイト「冗談だ。ホントのタイトルはこれや〜!」
『Trace Eden』
まりな「Eden?それって」
パラサイト「うむ、聖書でアダムとイヴが暮らしていた楽園だな」
まりな「でもここで宣伝してていいの?」
パラサイト「うっ、……ちゃんとあとで宣伝します」
パラサイト「と、いうわけで次回小次郎・杏子編Uでしばらくの充電期間のために休載とさせて頂きます」
では今回から始まった次回予告をどうぞ!
殺害現場で出会った小次郎と杏子
その現場で小次郎達が見たものとは?
そして犯人の目的は?
事件はあの日に起こっていた
それを伝えるべく一人の女がやってくる
次回「EVE〜Endless 狂想曲〜」
「日本か……」
お楽しみに!
読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ☆