小次郎杏子編U


19:10−シャルケ商事前−


小次郎「あっ!!」

杏子「天城さんじゃないですか!?どうしたんですこんなところで?」

小次郎「おまえこそどうしたんだ?」

杏子「天城さん、私の仕事忘れたんですか?ここに来たのも仕事なんですけど」

小次郎「そういえばそうだったな……・ん?そっちは誰だ?」

杏子「あ、こちらは水見 葵さん。今度の件を理由あってわたしと一緒に行動することになって…・」

葵「よろしく、天城 小次郎さん」


葵は右手を小次郎の方へと差し出す

小次郎も素直にその右手を差し出して握り返す


小次郎「!?」

葵「…どうかしました!?」


握手したとき、小次郎の表情が少し変化したことに気付いた葵が尋ねる


小次郎「い、いや別に……それよりどうしてオレの名前が『天城』だというのはまだしも、『小次郎』だということがわかったんだ?」


確かに葵は小次郎のことを初対面なのに“小次郎”と呼んだ



葵「さっき桐野さんがあなたのことを『天城』と呼んだでしょ?それにあなたの特徴なんかはさっき彼女から聞いていてまさしくその通りの人が来たからだけど」

小次郎「なるほど…・で、桐野、お前はオレのことをどういうふうに説明したんだ?」

杏子「え!?えっと〜…(あ、葵ったらなんでそんなことまで喋るのよ〜)」

小次郎「なんだその額の汗は?」

杏子「え、い、いや、ここに来るまでで結構疲れちゃってて……」

葵「……………」

小次郎「で、水見さんだったかな?」

葵「別に無理せずとも『葵』で結構です」

小次郎「そうか、それなら葵、こいつはオレのことをあんたになんと説明したんだ?」

杏子「あ、天城さ〜ん。今はそんなことをしている場合じゃ〜」

甲野「取り込み中のところすまないんだがねぇ〜」

小次郎「どわぁ〜!な、なんだあんたいたのか!?」

甲野「さっきからずっといたんだけどね。それより君達中に入らないでいいのかね?」

杏子「あ、そ、そうだったわ。葵さん、早く中に入りましょう!(ホッ)」

葵「え、ええ……でもどうしたのさっきまであんなに嫌がってたのに?」


葵は顔をニヤつかせながら、意地悪そうに聞く


杏子「と、とにかく本部長。それでは私達は中の調査に行ってきます!!…・それじゃ天城さん、また後で」

甲野「ああしっかりと頼むよ」

小次郎「あ、おい!……・行っちまいやがった…・」


小次郎「なぁー、桐野が担当している事件、そして桐野がここにいるって事はここで起こった事件と犯人は同一犯なのか?」

甲野「おおっと、君は民間人だろ?そんなにベラベラ喋れるわけないじゃないか」

小次郎「ベラベラと喋らなければいいわけだな」

甲野「あのね〜…・まりなくんみたいなこと言わないでよ」

小次郎「心外だな。あんな奴と一緒にするな」

小次郎「しかしまじめな話………また……テラーなのか?」

甲野「う〜む、そのへんはどうなんだろうね〜」

小次郎「おいおい」

甲野「しょうがないでしょ〜。所詮僕はかなしい中間管理職なんだから」

小次郎「ならオレも中を見させてもらってもかまわないか?ちょっと気になることもあるんでな」

甲野「う〜ん民間人をいれるのは……それより気になることとは?」

小次郎「ハッキリとは言えん。まだこれはオレの勘だ」

甲野「勘って君ね〜…」

小次郎「それにあんただって桐野に今回の件で俺の所に来させたってことにはなにか理由があるからだろ」

小次郎「なら俺にだって当然それを知る権利があるとおもうぜ」

甲野「まぁ〜いいでしょ、許可するよ。ただし現場では彼女たちの指示に従ってくれたまえ」

小次郎「ああ、悪いな」

甲野「まったく…・だが、君の腕は民間というには惜しいぐらいだし、まりなくん並み、いやもしかしたらそれ以上かもと私は睨んでいるんだがねぇー」

小次郎「買いかぶりすぎだぜ。それに………」

小次郎「…頼むからアイツと一緒にはするな」








19:30 −シャルケ商事・最上階−


杏子「うっ…………」

葵「犯行時刻からはまだいくらとも経っていないとはいえ……嫌な光景ね……」

杏子「ひ…ひどい…」

葵「桐野さん、わかってると思うけど鑑識はまだなんだからそこらへん汚して現場を荒らさないようにね」

杏子「わ、わかってるわよ(言われなくたって)」

杏子「(それにしても凄惨な惨状ね…・最上階までの途中でも見たけど、よくもここまで人を殺せるものね……まるで殺人機械みたい…)」

杏子「(ここでの被害者も首を裂かれて、死因はおそらくショック死ってところね…・)」

杏子「(あら?なにか光るものが被害者のそばに……)」

杏子「!?」

杏子「(ナイフ……これはどこかで……)」

杏子「(思い出した!確か3日前の事件での凶器のナイフと同じものだわ。…ということは同一犯?)」

杏子「(いったい犯人はどういう奴なのかしら……・それにしてもなにかこの現場……)」

葵「桐野さん……」

杏子「……………」

葵「桐野さん!!」

杏子「えっ!? ……な、なに?」

葵「なに?じゃないわよ!ボーっとして、なにかわかったの?」

杏子「え、ああ、これなんだけど」

葵「ああ、おそろく凶器のナイフね…」

杏子「それだけじゃなくて、例の3日前の事件の凶器とどうやら同じようなの」

葵「それ本当!?だとしたらこれは………」

杏子「……………」

葵「桐野さんどうしたの?他にもなにかあったの?」

杏子「い、いえ別に……ただなんというかこの現場、下の階と比べてなにか違和感が感じられて…」

葵「違和感!? どこが……」

杏子「さ、さぁ……はっきりとはわからないんだけど微かに……」

小次郎「ここの被害者だけは無抵抗で殺されてるっていうことだろ?」

葵「!?」

杏子「あ、天城さん!?だめですよ……ここは関係者以外立ち入り禁止の……」

小次郎「まーまー。硬いこと言うなよ、それにおまえらの上司にはちゃんと許可は取ってあるぜ」

葵「そう……ならここの被害者が無抵抗で殺されてるというのは?」

小次郎「あぁ。まずこの下の階の屈強な男どもはみな銃を抜いていて少なくとも抵抗の後があった」

葵「ええ、それはここに来るまでで私も確認したわ」

小次郎「だが、ここのやつはこの椅子に座ったまま殺されている……入り口からここまで離れているにもかかわらずに…だ」

葵「銃を持っていなかっただけかもしれないわ」

小次郎「ここの連中には持たせていてか?こういう連中、特にその親玉ともおもわれるものはたいてい持ってるはずだぜ……例えば………」

小次郎「……この机の中とかな」


     ガラッ


杏子「あっ!(た、確かに拳銃が一丁しまわれているわ)」

小次郎「な?」

葵「たしかに……ならこの被害者はどうして抵抗しなかったのかしら?」

杏子「……被害者と犯人が知り合いだったってことじゃ?」

小次郎「確かにその可能性も考えられる……だがそれだけじゃないだろ」

葵「その根拠はなんなのかしら?」

小次郎「そいつはまずこの被害者を調べりゃわかるだろ? そしてそれはお前等の仕事だぜ」

葵「でもここはあなたの意見も聞いてみたいのよ」

小次郎「……勘だ」



     ズルッ


葵「あ、あのねー………」

杏子「(あ、天城さん……か、勘て…・)」

小次郎「あのなー……勘ていうのは経験と理論に裏ずけられた立派な才能なんだぜ」

葵「…………」

杏子「…………」

葵「わかったわ………あなたの勘とやらを信じてあげる。私でも気付かなかったこの現場の違和感を最初に感じ取って、それまで当てちゃうんですものね……だれかさんはわからなかったみたいだけど」

杏子「(カチン)そうね、でもどこかの誰かさんはその違和感さえ気付かなかったみたいだけど」

葵「何ですってぇー!」

杏子「何よ!!」

小次郎「お、おいおい(大丈夫なのかこいつら!?)」

葵「と、とにかく後は鑑識に任せて引き上げるわよ」

杏子「言われなくったってわかってるわよ」

葵「天城さんはなにか調べ残したことはあります?」

小次郎「ああ。そういや凶器は……・ナイフか?」

杏子「え、ええ、一応被害者のそばに…でもどうして!?」

小次郎「ああ、ちょっとな……」

小次郎「あれか………!?」

葵「その凶器は3日前の事件の凶器と同じ物だそうよ…」

小次郎「いや、どうやらそれだけじゃなさそうだ」

杏子「それはどういう事ですか!?」

小次郎「このナイフは3年前にも見たことがある……あるお国がらみの事件でな……(しかしどういうことだ?)」

小次郎「(今さらこいつらが現われてくるなんて……)」

小次郎「……ん?被害者の胸ポケットになにか挟まってるぞ?」

杏子「え?」

小次郎「どうやらメモ用紙のようだが」


     ガサガサ


小次郎「なんだこりゃ!?」

葵「貸して………なにこれ!?」

杏子「なんて書いてあるんです?」


     “I`ll kill you .......... Terror”


杏子「“お前を殺す”?……・なんですかこれ!?」

葵「私に聞かないでよ!…・だいいち読んで如くのことじゃないの?」

小次郎「だが、その“お前”ってやつが誰を指しているかはわからんな……」

杏子「youは“お前”って意味じゃなくて“お前等”、つまりこれを読んだ私達ってことじゃ……!?」

小次郎「…………」

葵「…………」

小次郎「うむ、だが問題はこれを書いたとおもわれる最後の人物の名前だな」

杏子「これって、なんて読むのかしら?テ……」

小次郎「テラーだろ」

杏子「ああ、確かに!?……葵知ってる?」

葵「しるわけないでしょ。でもアナタは知ってるみたいだけど」

小次郎「まあな……」

葵「教えてくれるんでしょ、その殺し屋さんのことを、それと関係していると思われる3年前の事件とやらを…」

小次郎「そうだな。それにお前等もどうしても聞き出すって顔してるぜ」

杏子「じゃあ!?」

小次郎「ああ……だがオレ自身ちょっと整理したいこともあるし、明日昼過ぎにでも俺の事務所に寄ってくれないか?………俺の知っているテラーのことはそこで話してやる」

葵「わかったわ、明日あなたの事務所に出向くことにするわ」

杏子「ならとりあえず今夜は私は戻って明日昼過ぎに葵と一緒に天城さんの事務所に向かいます」

小次郎「ああ………ときに桐野、ちょっと聞きたいんだが……」

杏子「はい!?」

小次郎「…・その……氷室は怒ってたか………!?」

杏子「はっ………い、いえ、最初は怒ってましたがもう怒っていないと思いますよ(クスッ、天城さんやっぱしあの時とあんまり変わっていないのね)」




こうして小次郎と杏子の事件第一日目は終了した.......

そして同時刻



−新東京国際空港−


“本日はLAM国際空港をご利用くださりありがとうございました”

“……は皆様の旅の安全を心よりお祈りしております”


空港内のアナウンスが響く中、一人の女性が颯爽と歩いている

その女性は金髪にサングラス、しかもラフな格好で、それが絵になっていた

彼女とすれ違った男達はほとんどみな振り返っている

しかし彼女はそんなことは別段気にもとめていない


…「……日本か……」

…「まさかこんな形で再び訪れることになるとわな」

…「しかし、借りは返す……アイツ……桐野 杏子には…」



to be continued


パラサイト「終った〜!」

葵「終った!?まだ2nd Dayが残っているじゃない?」

パラサイト「いや、前回の告知通り、これをUPしたからもうしばらくは休載なんだな」

葵「なんですってぇ〜!!せっかく私はこれから大活躍だと思ってたのに」

パラサイト「もう十分活躍してるじゃん!」

葵「どこがよ」

パラサイト「『ああ〜わたしのキャリアが〜』って泣きはいってるでしょ。あれであなたはもう大活躍!!」

葵「ちょっと、そんなの納得いかないわ!」

パラサイト「いいじゃないの。だいたいお前はオリキャラのくせに杏子とは正反対のキャラということで出してる、いわば杏子の引き立て役なんだから」

葵「なんですってぇ〜!!それどうゆうことよ!?」

パラサイト「はいでは後がつかえてるからじゃ〜ね〜★」

パラサイト「次回連載再会時も読んで頂けるとうれしいです」

ついに最初の一日が終った
だが小次郎と杏子の胸中にはなにが残ったのか?
そして謎の青年セカンドの動向は!?
そして未だに登場機会のない既存キャラ
彼らを取り巻く運命とは!?
それはすべて2nd Dayにかかっている

次回『EVE〜Endless 狂想曲〜』
再開未定!
再開しても読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ☆


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Endless Rhapsody