杏子編X
21:00 −杏子宅−
ガチャンッ
トットットットットットット
ドサッ
玄関を開けてそのまままっすぐに私はベットへと崩れ落ちた
杏子「あ〜…疲れた…」
あ〜まさかこんなに疲れる一日になるとは思わなかったわ…
たんなる殺人事件かと思ったら、結構大きな事件になって来ちゃったし
おまけに研修時代から苦手だった葵とはコンビを組まされることになるなんて思ってもみなかったわ
…でも私は私の仕事をするだけ!そのためには情報を集めなくちゃならない
そのためにはとりあえず明日は天城さんの事務所に行けばいいのね…
ゴロンッ
…今私の目には天井しか映っていない…真っ白な天井しか
今回私が担当することになった事件、初めは本部長も言わなかったけどエルディアがまた関わっている…
しかも今回の犯人と思われる人物は天城さんやまりな先輩も関わっていた
私はこの間のLost One 事件の時までエルディアなんて国、名前さえ知らなかった
杏子「…エルディア…か」
ただ天井を見つめながら呟く
そう言えばいろんなことがあったっけ…
単なる殺人事件の捜査から始まって、それが世界を震撼させた事件へと発展して行き
私はエルディアへと渡った…
そして…
プルルルルルルル
ベッドの脇においてある電話が鳴り出す
プルルルルルルル
けれど今は考えることがあるから出る気にはなれない…
プルルルルルルル
出る気にはなれない
プルルルルルルル
杏子「………」
プルルルルルルル
杏子「出る気にはなれないんだってば!」
私が仰向けのまま電話に向かって叫ぶと、まるで私の意を察してくれたかのように留守番電話が作動する
『はい桐野です。どちらさまで…なーんちゃって、これは留守番電話でーす☆』
杏子「……」
自分の声でこうゆうのを聞くと改めて空しくなるわね…
でもこんなメッセージになったのはちゃんと理由がある
まりな先輩が『あなたの留守番のメッセージはありきたりすぎて面白くない!』と言われ、先輩がOKというまで何度も内容を変えさせられたやつだ
メッセージを変えるたびに確認のために電話をかけて来るものだからほんと困ったわ
結局こんなメッセージになっちゃったし
だからこのメッセージもなんだかやけくそで作ったやつ
でも
…『……おい杏子、なんなんだよこのメッセージは…』
えっ!?この声は!!
ガバッ
…『早く取れよ!後5数えるうちな。1…2…3…4…』
杏子「わー!待って、待って、待って!!」
ガチャッ
杏子「もしもし雄二君!」
雄二『……』
杏子「…もしもし?(どうしたのかしら?)」
雄二『……』
杏子「もしもし?」
雄二『あのなー…いるんなら留守番になんかしておかないでさっさと出ろよな…』
杏子「アハハ、ごめん…ちょっと今は電話に出る気になれなかったから(エヘッ)」
雄二『なんだよ、またなんか失敗でもやらかしたのか?』
杏子「あのねー…雄二君は言ったい私のことをどうゆう風に見ているの?」
雄二『鈍くさい女』
杏子「……」
雄二『おい、冗談なんだから笑えよ』
杏子「雄二君が冗談を言ってっも笑えないわ…それに今のは冗談に聞こえなかったもの」
雄二『あのなー、でもお前が元気をなくすことなんてそれぐらいしか考えられないだろ?』
杏子「仕事で身体共にくたびれてるとは思わないの?」
雄二『…だってお前考えるより行動するタイプだろ?だったらそんなわけないじゃん』
杏子「たしかにそうかもしれないけど、今回のは本当に疲れるのよ…だいたいまだ捜査一日目なのよ」
雄二『一日目!? おいおい、そんなんでもう疲れるのかよ?』
杏子「…そうよね…(考えてみればちょっと私としては以外かも)…やっぱ半年のデスクワークが響いたのかしら?」
雄二『だろうな…おまえデスクワークが決まっ途端、荒れてたからなー(しんみり)』
杏子「そうそう、私が居酒屋で雄二君に絡んでね」
雄二『ああ、あの時はまいったよ…なにしろ俺は酒は飲めないのに酔っ払いの相手はしなくちゃならないんだぜ』
雄二『あの時近くのおっちゃんがこれも記念だとか言って持ってたポラロイドで写真まで撮ってくれてたもんな』
杏子「(写真!?)」
私は雄二君のその『写真』という言葉に反応する
なにかどこかで…
杏子「あぁぁーーーーーーー!!」
(キィィィィーーン)
雄二『……な、なんだよ急に大声だして…』
杏子「今思い出したわ!雄二君あの時の写真私のかばんにいれたでしょ!」
雄二『写真!?…なんの?』
杏子「とぼけたって無駄よ!あの時の写真を持ってたのは雄二君しかいないんだから」
雄二『???…話が見えないんだけど』
杏子「その居酒屋での写真よ!雄二君が私のカバンにいれたんでしょ!」
雄二『ん、あああれか。…そういや俺が入れたっけ…でもそれって4ヶ月も前の事だぜ』
杏子「私はその写真のせいで今日氷室さんや天城さんの前で大恥かいたんだから」
雄二『氷室さん?ああそういや昨日電話で聞いてきたっけ…元気だった?』
杏子「え、うん。二人とも相変わらず元気だったわよ」
雄二『そうか…そのうち氷室さんの事務所に遊びに行くかな』
杏子「そうね…って、話を反らさないでよ!とにかくその写真のせいで私は恥をかいたんだから!!」
雄二『フーン…でもそれって単に杏子が4ヶ月もしまいっぱなしにしていたせいだろ?別に俺のせいじゃないじゃん』
うっ…たしかにそうなんだけど…
杏子「…とにかく雄二君があんな写真を入れっぱなしにしておいたおかげで氷室さんや天城さんの前で恥をかいたんだからね」
雄二『はいはい…お前の言いたいことはわかったよ、俺が悪うございました』
杏子「うむ、わかればよろしいのよ」
雄二『……』
杏子「雄二く〜ん…そこで黙らないでよ〜」
雄二『…で、俺の用件に入っていいか?』
杏子「え?用件!?」
雄二『あのな〜…俺が電話をかけてきたんだから当然俺がお前に言いたいことがあるからに決まってるだろ』
杏子「え…ええ、そう、そうよね(アハハハ)」
雄二『大丈夫かお前…で、今日俺が電話をかけたのわな、明日お前が前から言っていたお前の先輩の墓参りに行く時間が取れそうだから電話をかけたんだけど』
私の先輩…この時私の頭には初めて先輩、見城先輩に会った時の光景が思い出される
まだ新人だった私に親切に教えてれてたけど、先輩が爆弾魔で、他の殺しの容疑まで私になすりつけた人
普通なら憎むんだろうけど、私には何故か憎めない
それはエルディアの砂漠で先輩と最後にあった時、先輩の最後の顔がとても安らかだったからなのかもしれない…
私は帰国して半年、雄二君に見城先輩の墓参りに付き合ってと頼んでいた
一人ではちょっとやっぱしなんか行きづらいし、まりな先輩は今はアメリカに行っちゃてるしね
杏子「明日…(明日は天城さんの事務所に行くことになってるのよね…でも午前中に行って済ませて、お昼ごろにいけば)」
雄二『なんだよ、都合悪いのか?』
杏子「ううん、明日の午前中に行って済ませちゃいましょう!」
雄二『OK。あしたの午前だな…じゃあ10時ごろ迎えに行くからちゃんと起きてろよ』
杏子「任せておいて!私今夜はもう早く寝るから」
雄二『ハハ、じゃあな』
杏子「うん、お休み」
ガチャッ
私は置いた受話器をそのまましばらく見つめていたが、すぐに顔を上げてシャワールームへと駆け込んでいった
23:00 −都内某マンション−
一人の男がエレベーターに乗り込む
そしてそのまま自分の住む部屋の階のボタンを押して、扉が閉まりかける
その時このエレベーターにめがけて走って来る影が一つあったいた
男はしまりかけていたがエレベーターの【開】のボタンを押して、再び扉を開けて待つ
そして程なくエレベーターに駆け込んで来たのは、男が一人だった
駆け込んできた男「ハァー、ハァー、…Danke schon」
その男はドイツ語を喋った
顔を上げると背はそんなに高くはないが、どうみても外国人であった
男「いえ、…ドイツの方ですか?」
エレベーターの扉が閉まり、そのまま上がってゆく
ドイツ男「Ja、私ドイツ人です…氷川 守さん」
氷川「!?」
突然自分の名前を会ったこともないドイツ人に呼ばれ驚愕の表情を浮かべる
しかしその男は気にせず、エレベーターの非常停止ボタンを押す
ガクンッ
上昇を止め、急に止まるエレベーター
氷川「おい、一体なにを……ガァッ!?」
氷川が言い終える前に男は隠し持っていたナイフを心臓めがけて一気に突き刺した
氷川はその刺されたナイフと相手の顔を交互に見やり、ナイフを抜こうと手をかけるが、男は更に深くナイフを刺すとそのまま氷川はエレベーターの床に崩れ落ちていった
男は氷川が息をしていないのを確認するとエレベータの非常停止ボタンを解除して、氷川が降りようとしていた階の一個下で降りる
男「Auf wiedersehen」
男は事切れている氷川にそう告げるとそのまま非常階段から降りていった
............. to be continued
パラサイト「ふ〜、無事に杏子編も終われたな」
杏子「ごくろうさまです」
パラサイト「で、これで再び休載になっちゃうんだけど…」
杏子「う〜ん、ちょっと悲しいけど、さらに面白い展開にさせるためには仕方がないのね」
パラサイト「おお、そういってくれるのはお前だけだ!」
(抱き)
杏子「抱き付くなぁ〜!!」
(バキッ)
パラサイト「ゲバァッ〜」
杏子「さて作者が死んだところで私が変わって後書き言っちゃうけど…」
杏子「最後のこのドイツ男は一体何者なのかしら?」
杏子「ちなみに”Danke schon”は【ありがとう】、”Ja”は【はい】、”Auf wiedersehen”は【さようなら】という意味なのよ」
杏子「でも殺された氷川って人…・氷川!?どこかで聞いたような会ったことがあるような…」
(考え中)
杏子「ああ!あの人か…この氷川って言う人はね(ピィー)なんです」
杏子「なんだかどんどん奈落の底に沈んでいくような展開になってるわね」
パラサイト「(ピクピク)」
杏子達の一日は終了した
一同はそれぞれの思いを胸に秘め眠りへと誘われるのであった
次回『EVE〜Endless 狂想曲〜』
intermission
2nd Day の始まりはエルディアから始まるらしいわ
読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ♪