小次郎編U




11:30 -墓地-


小次郎「久しぶりだな弥生」

弥生「…そうだな、たしかに久しぶりだ…」

小次郎「すこしやつれたか?」

弥生「そ、そうか?」

小次郎「ああ」

弥生「まぁな、どこかの誰かさんの所と違って忙しいんでな」

小次郎「う”……けっこうな物言いだな」

弥生「………」

小次郎「………」

弥生「………」

小次郎「………」

弥生「………」

小次郎「………」

弥生「………」

小次郎「………」

弥生「………」

小次郎「なにか話せよ」

弥生「…ああ」

小次郎「……(ヤバイなこの雰囲気…久しぶりだから何を話していいかわからんぞ…まったくいつから俺はこんなのになっちまったんだ)」

小次郎「(そうだ、そういえば弥生の傍らにいるソイツは…)」

小次郎「そういやなんで今日はおやっさんの墓参りに来たんだ?」

弥生「フッ、小次郎こそ……以前は私が連絡しない限り来なかったじゃないか」

小次郎「うっ、それは…」

弥生「冗談だ、済まない」

小次郎「い、いやっ…(なんだ?やけに素直だな)」

弥生「私が今日ここに来たのはこちらの…」


弥生がそう言い傍らの青年を俺に紹介する


弥生「この彼に付き合ってなんだ」

  「よろしく」

小次郎「あ、ああ」

  「アギヴ・川口と言います」

小次郎「アギヴ?」

アギブ「僕は中東の国の出身なんです…父は日本人でしたが」

小次郎「ああ、なるほどな」

弥生「彼はパパに会いに来たと言ったんだ」

小次郎「おやっさんに?」

アギブ「ええ、桂木源三郎氏に伝えるべきことがあってやってきたのですが……」

アギヴ「源三郎氏はすでに亡くなられていたとのことで…とても残念です」

小次郎「その伝えるべきこととはなんなんだ?」

アギブ「…すいません、言えないんです」

小次郎「言えない?」


俺は弥生のほうを見る

弥生ならなにか聞いているかもしれないと思ったんだが…

俺の言いたいことがわかったのか、だが弥生も静かに首を振る


弥生「すまんが私も聞いていないんだ」


その言葉に俺は納得するしかなかった

が、どうしてもこの…アギブ・川口という男、気になる

どうもどこかで会ったことがあるという気がしてならない

それにおやっさんに話だって?……今の俺の状況からして……タイミングが良すぎる

俺の気のせいならいいのだが…


アギブ「どうしても聞きたい…という顔をしてますね」

小次郎「いや、そういうわけじゃ…(チッ、読まれてるな)」

小次郎「だがどうしておやっさんに?いや、おやっさんとはどういう関係だったんだ?」

アギヴ「………」

小次郎「これも言えないことか?」

アギヴ「いえ、そんなことは……そうですね、確かに私と源三郎氏との直接の面識はありませんでした」

小次郎「なら…」

アギヴ「私の父と源三郎氏とが友人だったのです」

小次郎「あんたの親父と?(そういえばこいつの出身は中東…そして父親は日本人……まさか!!)」

アギヴ「あなたの考えてることは多分当たりではないけど、全くの外れという事でもありませんよ」

小次郎「!!」

アギヴ「フフッ、どうやら驚いたようですね」

弥生「小次郎、どういうことなんだ?」

小次郎「い、いや…別に……」

弥生「そうか……」


弥生は口ではああ言ってるが納得がいかないって顔をしてるな

まぁ仕方ないか。あの時も弥生だけがまだ真実を知っていないんだからな


弥生「そういえば小次郎。お前はどうしてパパの墓に?」

小次郎「え、ああ…(そういえば弥生にはまだ俺の来訪の理由を話していなかったな…だが本当のことを言うわけにはいかない)」

小次郎「…いや、たまにはおやっさんと会いたくなってな」

弥生「フ、そうか。相変わらず私に本心を打ち明けるつもりは無いか」

小次郎「いや、そういうわけじゃ」

弥生「いいんだよ小次郎…私達はそれでいいんだ……」

小次郎「…弥生」

弥生「それじゃ小次郎…私はこれで帰る」

小次郎「あ、おい!」

弥生「最後に会ったときに言ったろ、私達は会わないほうがいいと」

小次郎「……」

弥生「それじゃあな、アギブ君行くぞ」

アギブ「ええ、失礼します」

小次郎「あ、ああ」



小次郎「(行っちまったな…)」


弥生とアギヴは去り、おやっさんの墓の前には俺しかいない

そうこの墓はたんなる飾り

本当のおやっさんは今もあの海の底に眠っている

弥生は未だに刑務所の火事で死んだと思っているけどな…


小次郎「おやっさん……」

小次郎「あんたがテラーだったっていう話しはあの時に法条から聞いていた」

小次郎「のちにテラーというのは暗号名に変わった集団だったってこともな…」

小次郎「だけど…(再びテラーが現れた…)」

小次郎「あんた一体エルディアでなにをしてたんだ?」

小次郎「ったく、大事にことは全部残して逝っちまいやがって」

小次郎「………」

小次郎「ま、今日は愚痴りにここに来たわけじゃないんだ……」

小次郎「おやっさん、アンタには今の俺の決意を述べておこうと思ってな」

小次郎「アンタの後始末は俺が清算しといてやるよ……あんたから見れば俺はまだひよっこ………昔どっかの誰かに小僧呼ばわりされた時のままだが、これでもあんたの息子のつもりだしな」

小次郎「だから安心して眠っててくれ…まぁ運悪く俺もおやっさんのところに行ったときは叱ってくれてかまわないからさ」

小次郎「じゃあなおやっさん!せいぜい向こうでも変わらずにいてくれ」


俺はそう言い残すと墓を後にし歩き出す





12:20 -セントラルアベニュー-


小次郎「さて、約束の時間までもうじきだな……」

小次郎「その前に……」

    (キョロキョロ)

小次郎「お、あったあった」

    (ジャラジャラ)

小次郎「トホホホ…なんだって俺の財布の中身はこうも少ないんだ…」

小次郎「(そういや今回の件って収入とかそういった話しはないんだよな…)」

小次郎「ひょっとしてただ働きになる可能性があるのか!?」

小次郎「それは避けないとな……となると桐野じゃ駄目だろうから水見葵と交渉するしかないだろうな」

小次郎「って、さっさと目的を済ませるか」

    (チャリン)

    (ピッ ポッ パッ ………)

小次郎「………」

    (プルルルルルルル)

    (プルルルルルルル)

小次郎「早く出ろよ!」

    (ガチャッ)

  『はいはいはいネ!』

小次郎「はいは一回でいい!」

  『はい?』

小次郎「いや、それより俺だ?」

  『オレダさん?あなた誰ネ?』

小次郎「あのなー黄……俺だよ小次郎だよ」

黄『コジ・ロー?』

小次郎「なんだそれは?」

黄『中東のほうの言葉で馬糞っていう意味ネ!』

小次郎「ばふん?ばふんって……!!…おい!!」

黄『そんな名前持てるのアンタだけに小次郎』

小次郎「やかましい!よりによって俺様をウ○チなんかと一緒にするな!!」

黄『そんなでかい声で話さないよろし!回りに響くよ』

小次郎「う”っ」

黄『で、何の用ね?』

小次郎「あ、ああ…昨日お前が言っていたナイフ使いの殺し屋の情報だが」

黄『ああ、昨夜も出たらしいネ!たしかシャルケっていう外資系の商業ビルに』

小次郎「それは知っている」

黄『なんだ知てたか…それより知てるか小次郎?昨夜別所でもナイフによる殺し起こたネ』

小次郎「なんだと?」

黄『電話じゃなんだから詳しくはまた直接会て話すがそれでいいか?』

小次郎「ああ…あ、だが夕方にしてくれるか?ちょっとこれから来客等があるんでな」

黄『わかたネ!じゃあいつもの場所に17時に待てるよ』

小次郎「ああ、それじゃあな」

    (ガチャッ)

小次郎「フー……(しかしまた別のナイフによる殺しだと?いったいどうなってる)」

    (ドンッ)

小次郎「おっと!」

  「あ、すいません」

小次郎「あ、いやいい。俺もよそ見していたからな」

  「あ、じゃあどうも失礼しました」

  「ユカ!なにしてるんだ?さっさと来なさい!」

ユカ「あ、待ってよパパ!」

小次郎「……(親子か…)」


俺は何気なくその親子を目で追ってしまった


    (ドンッ)

小次郎「うわっ」

  「キャッ」

小次郎「ったく、なんだ今日は一体…」

  「ちょっと、どこ見て歩いてるのよ!」

小次郎「なに?それはこっちの台詞だ!って、アレ?」

  「あら?あなた確か…」

小次郎「えっと〜……確か葵っていったっけ?」

葵「そういうあなたは…天智小次郎!」

小次郎「おい!」




....................................... to be continued


後書き

パラサイト「よっしゃ!再開後早くも4話目、結構勢いに乗ってるな」

葵「でもねぇ〜〜〜〜」

パラサイト「どうした葵?」

葵「なんで再開後こうもお墓ネタばかり続くのよ…」

パラサイト「え?」

葵「こないだ某K氏からも言われたんでしょ」

パラサイト「そりゃ〜…まぁ……」

葵「どうなのよ!」

パラサイト「うむ……」

葵「ねぇ!」

パラサイト「おっと、もうこんな時間だ!!じゃあな葵君、また会おう!!」(脱兎)

葵「あ、逃げた!」




小次郎と弥生の再会
だが何事もなく終わってしまった出会い
そしてオジ様に心のうちを告げた小次郎
次回「EVE -Endless Rhapsody-」
杏子編U!
次回も読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ♪


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