杏子編V




13:00 -墓地-


甲野「ふ〜、杏子君…君もよくよく狙われる人だねぇー」

杏子「そんな〜……私はただ見城先輩のお墓参りに来ただけですよ〜」

甲野「その見城君のお墓に弾痕……君が来たせいじゃないのかね?」

杏子「ちょっと!それじゃあまるで私が歩く疫病神みたいじゃないですか」

甲野「う〜ん、当たらずも遠からずってところかね〜」

杏子「ほ、本部長〜〜〜」

甲野「それと江国…雄二君だったっけ?」

雄二「あ、はいっ」

甲野「君も杏子君同様ケガはなくてなによりだった」



狙撃されてから私はすぐに雄二君の携帯電話で本部長に連絡を取った

電話を切ってから本部長達がここへ現われるのに15分とかからなかった

その間私と雄二君は狙撃地点と思われる場所に対しては死角になる位置にいたために難を逃れていた



杏子「でもなんで私が狙われたのか…捜査妨害が目的でしょうか?」

甲野「僕にはわからんよ…まぁこれからは捜査をする上でさらなる警戒が必要になるだろうね」

杏子「はい、それはわかってます」

鑑識官「本部長、銃弾が見つかりました」

甲野「お、ご苦労さん!それでどうだったね?」

鑑識官「はい、銃弾は墓石にめり込んでいて正確な形状はわからないのですが…」

甲野「う〜ん、となると犯人の特定には至らない可能性もあるわけだね」

鑑識官「ただこの状態からして狙撃銃(スナイパーライフル)であることは間違いないと思われます」

甲野「それだと杏子君の証言と一致しているね」

杏子「だから私は何度も狙撃されてるって言ったじゃないですか!」

甲野「わかってる。ただ……」

杏子「ただ?」

甲野「……君の言葉を信用できなかっただけなんだよ僕は」

杏子「(ガクッ)ほ、本部長〜〜〜」

甲野「お〜っと、冗談冗談!でもね、君なんで狙撃なんかされたのか本当に心当たりないの?」

杏子「あるわけないじゃないですか!」

甲野「ホントに?」

杏子「本当です!!」

甲野「お〜〜っと、そう興奮しないでよ。君は最近怒ると見境がなくなってくるからね〜」

杏子「私をまりな先輩みたいに言わないでください!」

甲野「……」

杏子「な、なんですかその目は!」

甲野「別に……ね〜………ただこれからは君の単独行動は極力控えさせる」

杏子「え?」

甲野「実はね……君も知っておいたほうがいいと思うから話すけど」

杏子「?」

甲野「君が担当するようになった事件の被害者…覚えてるかい?」

杏子「え、ええまぁ……そりゃ被害者知らなければ捜査なんてできませんし」

甲野「今朝未明…氷川守(ヒガワ マモル)が自宅マンションのエレベータ内で死体で発見された」

杏子「氷川って…」

甲野「そう、君が担当している事件の被害者のお嬢さんの父親の方だよ」

杏子「そんな!?」

甲野「まったくね〜……奥さんも娘さんだけじゃなく、旦那さんまで殺されたんじゃたまらんだろうに」

甲野「まぁその心中も察するよ、ホントに……」

杏子「……」

甲野「おや、どうしたんだい桐野君?」

杏子「え?いえ別に……それで死因は?」

甲野「ショック死、または出血多量だという解剖結果が来ている」

甲野「なにしろ心臓をナイフで一突きだったらしいからね」

杏子「ナイフ!?」

甲野「うむ、しかし…だ…」

杏子「まだなにかあるんですか?」

甲野「この仏さんの殺され方が尋常じゃない」

杏子「ナイフで刺されて……それで終わりじゃないんですか?」

甲野「いや、直接の死因はそれだ……だがね、その後がひどい」

甲野「なにしろ司法解剖の現段階の報告では他にも数カ所にナイフによる殺傷傷の跡が発見された」

杏子「それって〜、いわゆる……」

甲野「うむ、いわゆる滅多刺しってやつだよ杏子君」

甲野「うむ、だが今回のケースには今までと違うところがまだある」

杏子「ま、まだなにかあるんですか〜?」

甲野「なにしろ現場にナイフは残されていなかった」

甲野「まぁ警視庁じゃあ同一犯人とみなして捜査本部を開くそうだ。我々(内調)のほうにも随時報告をくれるようには言ってはいるけどね」

杏子「……」

甲野「まぁーなんだね…そのへんは一つ葵君と協力してだね〜」

水見「本部長っ!」

甲野「うわぁ〜っ!!って、なんだい葵君か……脅かさないでよまったく〜」

水見「あ、これは失礼しました」

甲野「でもちょっと連絡受け取ってから遅かったね…困るよそんなんじゃ」

水見「と、途中でちょっと人と会ったものですから…」

甲野「……彼氏かい?」

杏子「え!?」

水見「ち、違います断じて!!」

甲野「わっ、わかってるよそんなの〜……ちょっとからかってみただけでしょうが〜」

甲野「でも顔赤くなってるよ水見君」

水見「本部長!」

杏子「プッ」

水見「(ジロッ)なによ杏子、その『プッ』ていうのは…」

杏子「え?いや〜その〜………あ、葵にもそんな一面があるのね〜って………ダメ?」

水見「はぁ〜〜〜……」

水見「…でもその様子だと狙撃されたって言ってもなんともなかったようね」

杏子「命狙われてなんともなかったわけないでしょ!怖かったわよ、もっんのすっごくっ!」

水見「でも無事なんだからいいじゃない。それとも今頃は天高い場所で撃たれたあなたの身体を見ていたかった?」

杏子「…イヤな言い方するわね」

水見「あら、それは気のせいよ」

杏子「………」

水見「で、本部長。まだこの現場検証は時間かかるんですか?」

甲野「そりゃ〜ね〜…でも君達はもうここにいる必要はないんじゃないかな?」

甲野「こっちはこっちで捜査を進めるしかないからね」

水見「それでは私と杏子はこの後本部長が言われていた人物と接触するので」

甲野「はい、わかったよ。一応終わったら二人とも報告がてらオフィスには寄るようにしてくれたまえ」

水見「わかりました。杏子、行くわよ」

杏子「て、ちょっと葵!あ、じゃあ本部長、私もそういうことで!!」

    (タッタッタッタッタ)

雄二「あ、おい杏子待てよ!あ、じゃあ俺も失礼します」

    (タッタッタッタッタ)

甲野「ふ〜騒がしくなってきたね〜、それにしても」







-セントラルアベニュー-


雄二「じゃあ杏子、俺玲奈と約束してるからさ」

杏子「うん、ごめんねせっかく付き合ってもらったのに」

雄二「いいって、別に」

杏子「今度給料が入ったらなにか奢るわ。玲奈ちゃんにもよろしくね」

雄二「わかった、そっちも氷室さんと小次郎さんによろしくな」

杏子「ええ、じゃあね」

雄二「それじゃあ水見さん、杏子のことよろしくお願いします」

水見「ええ、任せておいて」

杏子「……」


   ……


水見「……」

杏子「なによ、人の顔ジッと見て」

水見「彼が…あなたのエルディアでのパートナーだった江国雄二君…よね?」

杏子「え、ええそうだけど…」

水見「話には聞いてるわよ。あなた彼がいなけりゃエルディアでなにもできなかったんだって?」

杏子「うっ……た、確かに雄二君が一緒にいてくれたおかげで日本にいた氷室さんとも情報交換できたし」

杏子「なによりあのパソコンを持っていってくれてたのが一番助かったわね」

杏子「アレのおかげでワクチンの製造方法もわかったわけだし〜……」

水見「結局あなたはなにもできなかったわけね?」

杏子「そ、そんなことないわよ…『記憶』を持っていったのは私よ…」

杏子「そ、それに〜……ア、アハ…アハハハハハハハ」

水見「ふ〜〜〜ん」

杏子「な、なによその微笑を浮かべた表情でいうその頷きは」

水見「べっつに〜…ただあの子もちょっとかわいそうかな〜って」

杏子「可哀想?雄二君が?」

水見「……」

水見「あなた、もしかしてわかってないの?」

杏子「わかってないって……なにが?」

水見「………」

杏子「?」

水見「…は〜、彼に同情しちゃうわ」

杏子「な、なんなのよ一体!」

水見「まぁいいわ」

水見「今は彼、小次郎からテラーにまつわる話を聞いて情報を聞き出すのが先決だからな」

杏子「そ、そうよ!今日こそしっかりとその情報を聞き出さなきゃ!なんかまわりで不穏な動きもあるみたいだし」

水見「あなたがその不穏な動きを呼びこんでるんじゃないの?」

杏子「なにそれ?」

水見「あなたが歩けば事件と遭遇するってわけよ……あなたの意志とは関係なくね」

杏子「ちょ、ちょっと!!」

杏子「それじゃあまるで私が疫病神みたいじゃないの!!」

水見「あら、違ったかしら?」

杏子「!」


あ、葵ってば……

なんて嫌な性格をしてるんだろう…

私はこの時ほど悲しく、そして怒りを覚えたことはないわ


水見「ほら、そんな事言ってる間に……着いたわよ」

杏子「え?あらホントに……」

水見「でしょ?」

杏子「でもさっきまで私達セントラル・アベニューにいたんじゃ…」

水見「いつの話してるのよ?私達が話してる間にとっくに通りすぎてたじゃない」

杏子「あ、そう言われてみれば!」

    (ポンッ)

水見「相槌打って手なんか叩いてないでいいの!どうせ作者の手抜きなんだから」

杏子「う"っ……あ、葵、それは〜〜……」

水見「…なによ?」

杏子「ううん、なんでも」

水見「さ、じゃあ入りましょう!」

杏子「ええ!!」

杏子「でも小次郎さんと氷室さん待ちくたびれて中で抱き合ってたりして♪」

水見「なに勝手なこと言ってんのよ!!恭子先輩がそんなことしてるわけないじゃない」

杏子「あら、でも小次郎さんと氷室さんは相思相愛なのよ!?」

水見「私は信じないわ!そうよ、恭子先輩はあの男に騙されてるのよ!!」

杏子「ま、とにかく入りましょうよ!こんなところで言い争ってたってしょうがないし」

水見「あなたが言い出したんじゃない!!」

杏子「まぁーまぁー」

水見「うう、こんなの(杏子)と一緒に行動してる私って……」

杏子「そ、そんな涙なんか流して喜んでもらわなくても」

水見「哀しんでるのよ、すっごく!!」

杏子「アハハハ……じょ、冗談よ冗談」

杏子「(こ、怖かった……)」

杏子「じゃあ入るわよ」

水見「……ええ」

    (ガチャッ)

杏子「こんにちはーー!」

小次郎「!!」
氷室「!!」

杏子「どうもお待たせしま………―」

小次郎「あっ」

杏子「あっ………」

氷室「……き、桐野さん?」


ドアを勢いよく開けて中に入った

だけどその時目に飛び込んできたのは………

ああ、まさか冗談が本当になるなんて

目の前には白昼堂々床で抱き合ってる小次郎さんと氷室さんがいた


杏子「………し、失礼しました……」

    (ギィギィギィ………バタンッ)



................ to be continued



パラ「はいはい、久々のEVEでゲス!」

まりな「まったく3ヶ月もなにやってたのよ?」

パラ「いや〜、なにしろ就職活動で忙しくて……(テヘヘ)」

まりな「テヘヘじゃないでしょう!」

パラ「でも忙しかったのは本当だぞ!」

まりな「でも他のは書いてるじゃない」

パラ「う”っ」

まりな「イラストだって描いてるじゃない」

パラ「う”っ」

まりな「ナンパだってしまくってたじゃない!!」

パラ「う”う”っ」

パラ「って、ちょっと待て!!最後のナンパってのはなんだ!!」

まりな「あらナンパも知らないの?」

まりな「ナンパっていうのは、遊び目的で異性を誘うことを言うのよ♪」

パラ「なるほど……って、ナンパの意味を聞いたんじゃなくて、なんで俺がナンパしてたことになるんだよ」

まりな「あら、ネタはあがってるのよ」

パラ「ネタ?」

まりな「あなた就職活動にかこつけて女の子達に結構話し掛けてるでしょう!!」

パラ「ちょ、ちょっと待て!!確かに話し掛けはしたが断じてナンパじゃないぞアレは」

まりな「じゃあなんだっていうのよ」

パラ「そりゃ〜、アレさ!俺は繊細でナイーヴだから、面接待ちの時に誰かとお話をして緊張を和らげようとしてたんだよ!!」

まりな「……今の話信じられる人〜〜〜?」

    (シーーーーーーン)

パラ「ホントだってーーー!!」

まりな「まぁナンパばっかりしてないで、早く次を書くことね」

パラ「俺は無実だぁーーーーー!!」

まりな「罪人パラは夏までに次を書くこと!!」

パラ「うう、逃げたい……(泣)」


2001年6月8日


小次郎の事務所にやってきた杏子と葵
だが彼女達が目にしたのは
白昼堂々抱きあっていた2人の姿だった
次回「EVE -Endless Rhapsody-」
小次郎編W!
次回も読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ♪


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Endless Rhapsody