小次郎編W



13:30 -あまぎ探偵事務所-


突然俺の事務所にやってきたハエ(ルポライター)こと柴田茜

毎度の言い争い後、訪問の理由を尋ねると茜の背後から現われた人物


茜「さぁ、フリーダ、入っていいよ」

小次郎「フ?」

氷室「フリーダ!?」


茜の口から出た言葉に俺と氷室は正直面食らった

そしてその言葉で奥から現われてきたのは金髪の………その、美人だった




そう、茜が招いた人物はブロンドヘアー(金髪)の女性だった

そしてその顔立ちとうは整っていて俺は思わず見とれてしまったものだ


フリーダ「は、はじめまして…」

小次郎「え、あ……い、いや、ようこそ」


俺は呆気に取られてしまったためか、そういうふうに返事するしかできなかった


氷室「(ムッ)」

氷室「ちょっと小次郎!いつまで見とれてんのよ!!」


    (ムギュ〜〜ッ)


小次郎「痛ェーーーーーッ!!」

茜「(ひえ〜〜〜……今のは痛そう…)」

フリーダ「……」

小次郎「ちょ、ちょっと待て氷室……何故いきなり俺の足を力いっぱい踏みつけるんだ」

氷室「フンッ」

小次郎「フンッ……って……」

茜「まぁ〜小次郎も相変わらずで氷室さんの苦労も絶えないみたいだね〜」

小次郎「こらハエ!その“相変わらず”ってのはなんだよ!!」

茜「言葉のままじゃないか。相変わらず氷室さんを困らせてるみたいだし」

小次郎「グゥッ」

茜「それよりこんな可憐な乙女に向って“ハエ”!っはないだろ小次郎!!」

小次郎「ハエに向ってハエといって何が悪い……それよりお前、この前まで自分のこと“可憐な少女”と言ってなかったか?」

茜「そ、そんな時もあったね」

小次郎「それがなんで今では“乙女”なんだよ、おいこら!」

茜「うるさいな〜……別にいいだろ、ボクはもう少女は卒業したんだヨ!」

小次郎「それで今度は乙女か?」

茜「いいだろ別に!どう言おうとボクの勝手じゃないか!!」

小次郎「もっと事実というものを見つめた方がいいぞお前」

茜「その言葉、小次郎にもそっくり返してあげるよ」

小次郎「おい、どう言う意味だよそれ!?」

茜「べっつに〜♪」

小次郎「その“♪”マークはなんだ!!」

茜「なんのことだと“♪”マークって……」

小次郎「これは小説だから読者には見えるんだよ!!」

茜「はぁ〜?」

小次郎「と、とにかく……そっちの外人は誰なんだよ」

茜「おっと、小次郎の相手を長々してたら忘れてたや」

小次郎「……」

茜「ねぇ〜氷室さん、今この事務所って依頼たくさんきてる?」

氷室「え?」

茜「いや〜、ちょっと彼女がこっち(日本)で人捜ししたいって言うからさ」

氷室「え、ええ…今は別に他に依頼も来てないし」

茜「やり〜!じゃあ決まりだね!!」

小次郎「ちょっとまて茜……」

茜「ん?どうしたの小次郎??」

小次郎「どうして俺に聞かずに真っ先に氷室に聞くんだ!」

茜「はぁ〜?」

小次郎「『はぁ〜?』じゃない!!いいか、ここの責任者、つまり所長はこの俺、天城小次郎様だ!!」

茜「そして実質の経営は氷室さんが握ってるんでしょ?」

小次郎「う”っ」

茜「だったら小次郎に話を通さなくても氷室さんに直接に聞けば早いじゃないか!!」

小次郎「バカ!そうでもここの所長は俺なんだぞ!氷室はあくまで従業員、つまり俺の家来だ!!」

氷室「(ピクッ)」

茜「あ、バカ」

小次郎「(し、しまった……)」

氷室「小〜〜次〜〜郎〜〜……誰があなたの家来ですって?」

小次郎「わ〜待て早まるな!!今のは言葉のアヤだアヤ!!」

氷室「ふ〜〜〜っん」

小次郎「うっ…お前納得してないな……」

茜「痴話喧嘩はそのへんで、こっちの話進めてもいい?」

小次郎「なっ!?だ、」

氷室「誰が痴話喧嘩してるのよ!!」

小次郎「(あ、俺の台詞……)」

茜「………」

茜「(やれやれ、この二人も相変わらずみたいだね)」

フリーダ「(プッ)アハハハハハハ」


突如その雰囲気に笑い声が割って入る


茜「ふ、フリーダ!?」

フリーダ「ご、ゴメンナサイ……あなた達のやりとりがあまりにおかしかったものだから」

小次郎「おかしかったって……」

氷室「なんだか彼女の笑いで怒る気もなくしちゃったわ。さっ、柴田さん、依頼の話を聞きましょうか?」

茜「あ、そうそう!早くそれを言わないと」


    (ピリリリリリリ ピリリリリリリリリ)


茜「あ、携帯が…」

小次郎「おい、これから重要な話するんだったら電源ぐらい切っとけよ」

茜「そういうわけにもいかないんだよこっちは!ちょっと失礼」


    (タッタッタッタ)


茜「はい柴田です……はい、今は……ええ〜〜〜!!」



小次郎「(なんだ?)」


茜「はい、そういうことならすぐに行きます!場所は……はい、そこならタクシーで行けばすぐですから」

茜「はい、じゃあ失礼します」


    (ピッ)

    (タッタッタッタ)


茜「ごめんフリーダ!仕事が入っちゃった!!」

フリーダ「え?」

小次郎「いう、これからすぐに行かなきゃいけないのか?」

茜「そうなんだよ!なにしろ白昼の狙撃事件らしいからね!!」

小次郎「なに!?」


俺からその事件のことを聞いていた氷室は俺の耳元に顔を寄せて小声で話し掛ける


氷室「小次郎、それってあなたがさっき葵から聞いたって言ってた…」

小次郎「ああ、たぶんその事件だろうな」

氷室「じゃあ桐野さんの…」

小次郎「そういうことだな」


俺達がそう話していると茜はすでに取材に行く準備を整えると


茜「じゃあ小次郎!悪いんだけどフリーダの依頼の話を聞いてあげてね、じゃっ!」

小次郎「お、おい茜!!」

茜「フリーダ、ごめんね。後で電話入れるから」

フリーダ「ええ、かまわないわ」

茜「じゃ、氷室さんも後よろしく」

氷室「え、ええ……」


    (バタンッ)


茜を早口に言いたい事を言い残していくと、そのまま事務所を出ていった

後には俺と氷室、そしてフリーダと名乗る茜の連れてきた美人しかいなかった


氷室「えっと、フリーダさん……だったかしら?」

フリーダ「あ、はい。私フリーダ・ファルクといいます。仕事は茜さんと同じく国でジャーナリストの仕事を」

氷室「私はこの事務所の従業員の氷室恭子。こっちが(一応)所長の天城小次郎です」

小次郎「ん?」

氷室「どうしたの小次郎?」

小次郎「今俺の説明になんか不穏当な発言がなかったか?」

氷室「そう?気のせいじゃない?」

小次郎「…………」

氷室「で、茜さんの話だと人捜しをお願いしたいらしいけど…」

フリーダ「はい、私が捜して欲しいのはこの人です」

小次郎「どれどれ?」


フリーダが鞄から出した写真には、ブロンドでフリーダとそっくりな顔立ちをした女性が写っている


氷室「この人は……」

フリーダ「はい、その人は……私の姉です」

小次郎「姉?」

フリーダ「はい、姉の名前はヘレン・ファルク………数年前から行方不明なのです」

小次郎「行方不明?」

フリーダ「はい、姉はそれまでは仕事の関係上で出かけるようなことがあってもすぐに帰ってきていたのですが……数年前から行方不明なのです」

小次郎「失礼だが……フリーダさん、あなたとお姉さんの国は?」

フリーダ「あ、まだ言ってませんでしたね。私はドイツの出身です」

小次郎「ドイツ!?」

フリーダ「ええ、もっとも私もジャーナリストの関係上ヨーロッパを主にまわって活動してるんです」

氷室「ちょっと待って!どうして行方不明のはずのお姉さんをこんな日本まで捜しに?」

フリーダ「それは………」

小次郎「…それは?」

フリーダ「!!」

氷室「ど、どうしたのフリーダさん?」

小次郎「な、なんだ?どうした!?」

フリーダ「……そ、その前にお手洗い借りてもいいですか?」


小次郎「(ズルッ)」

氷室「(ガクッ)」


氷室「……ど、どうぞ……そこの突き当りのドアよ」

フリーダ「Danke schon(ダンケ シェーン)」


    (パタッ パタッ パタッ………バタンッ)


小次郎「………」

氷室「………」

小次郎「さすがは茜の知り合いだな」

氷室「え、ええそうね……」

小次郎「いや〜でも茜の幼児体型とは違って彼女スタイルいいな〜」

氷室「(ムッ)」

小次郎「いや〜やっぱ外人ってのはみんなあんな美人でスタイル抜群なんだろうか?」

氷室「……」

小次郎「なぁ〜氷室!お前どう……!?」(ビクッ)

小次郎「な、なんだ氷室……その身も凍りつかせるような視線は!?」

氷室「別に……よかったわね美人なクライアントが来てくれて」

    (スクッ)

小次郎「お、おい氷室!なに怒ってるんだよ」

氷室「別に怒ってなんかいないわよ……お茶でも煎れてくるわ」

小次郎「おい、待てって!!」

    (ガシッ)

氷室「ちょっと、離してっ!」

    (ブンッ)

小次郎「おわっ、力一杯振りほどくな!!」

氷室「え?キャァ〜〜〜〜〜〜〜!!」

    (ガラガラ ガランッ)

小次郎「あイテテテテテ……おい、氷室大丈夫か?」

氷室「え、ええ……ったく………え?」

小次郎「どうした………って!!」


なにが起こったかって?

俺は氷室に手を振りほどかれたときにバランスを崩して前のめりになってしまった

そしてそのまま氷室と床に崩れる格好になってしまったのだが……


氷室「こ、小次郎……」

小次郎「……氷室」


そう、あろうことかどこぞのラブコメじゃあるまいが俺と氷室はその時床で抱き合うはめになってしまっていたのだ

抱き合うといっても実際そうではなく、氷室は床を背にし、それを見下ろす形で俺が氷室に覆い被さっているような格好だ

しかも何故かお互いにその体勢をなおそうとはしない

氷室なんか頬を紅潮させてこの後になにかを期待しているような風潮さえある

たしかにこんな美味しい……もといお互いにこんなことになるなどは考えてみれば久しぶりのことだった


小次郎「……氷室」

氷室「小次郎……」


そして静かに氷室が目を閉じ掛ける


小次郎「(ええ〜い、こうなりゃもう!!)」

小次郎「(据え膳食わぬは男の恥!)」



    (ガチャッ)


小次郎「え?」

小次郎「(ガチャッ?)」

杏子「こんにちはーー!」

小次郎「!!」
氷室「!!」

杏子「どうもお待たせしま………―」

小次郎「あっ」

杏子「あっ………」

氷室「……き、桐野さん?」


せっかくのこの状況、それを壊したのは不意の来訪者桐野だった

……そういやもうそんな時間だったか?


杏子「………し、失礼しました……」

    (ギィギィギィ………バタンッ)


そう言い残すと桐野は扉をゆっくりと閉めてしまった

残された俺と氷室はただその場に居尽すしかできなかった

どこからか寒風が吹き込んできたような気がするのは俺の錯覚だっただろうか?


.................. to be continued


後書


氷室「ちょっと!!」

パラ「なに?」

氷室「せっかくのあの状況でなによあの落ちは!!」

パラ「お約束」(即答)

氷室「お、お約束って……」

パラ「だいたい杏子編Vを読んでればある程度はわかってたことだろ?」

氷室「う”っ」

パラ「まぁ氷室も残念だったな」(ポンポン)

氷室「(シクシク)」

パラ「まぁなにはともあれ誓約ははたせり!!」

パラ「っていうか最近このEVEの感想って誰もなんも言ってくれないからちょっと不満(笑)」

パラ「まぁ読んでくれてはいるんだろうね、。その証拠にEVE投票で小説キャラランキングに『後書のパラ』って書いて投票するヤツもいるぐらいだから」(笑)

パラ「まぁ次回もがんばって書くかな?」

パラ「……12月頃に」(ボソッ)



なんだかドタバタな展開
一体いつになったら更なる核心に触れるのか?
まぁそれは言わないお約束ってことで★
次回「EVE -Endless Rhapsody-」
小次郎・杏子編T!
次回も読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ♪



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