杏子編T
AM 10:40 プリンセス・ホテル
杏子「う〜〜〜ん ムニャムニャ Zzz…… Zzz……」
…「………」
杏子「うぅ〜〜ん ……まりな先輩……も、もうできましぇ〜〜〜ん ……できましぇ〜〜〜ん」
杏子「Zzz…… Zzz…… Zzz……」
杏子「あっははは、バッカねぇ葵ってば ………こ〜んなこともできないなんて」
杏子「Zzz…… Zzz…… Zzz……」
杏子「ああ、許してください天城さん!! 私…私…… 天城さんの目なんか覗いてません!」
杏子「Zzz…… Zzz…… Zzz……」
杏子「うう〜〜〜ん ……氷室さんっていったい幾つなんですかぁ〜〜〜」
杏子「Zzz…… Zzz…… Zzz……」
…「………」
杏子「Zzz…… Zzz…… Zzz……」
…「……ったく、なんの夢を見てるんだこの女は一体」
杏子「う……ううぅ…… せ、先輩……」
…「(先輩? さっきのまりなとかいうやつのことか?)」
杏子「……け、見城先輩 ………」
…「!!」
…「(…………)」
杏子「う……ううぅ〜〜ん………」
…「やれやれ……やっとお目覚めのようだな」
杏子「うう……」
(ムクッ)
杏子「はれっ!?」
…「おはよう、桐野杏子。 ご機嫌はいかがかな?」
杏子「へ? あ……ど、どうも」
私に声をかけてきたのは金髪の女性だった(おまけに美人)
だが私は何故か一瞬懐かしい気分にとらわれた
そう、なんと表現していいのかわからないけど、まるで心に一塵の風が通り抜けていったような……
…「………」
杏子「あれ?」
(キョロキョロ)
杏子「ここ……どこ?」
…「……プリンセス・ホテルだ」
杏子「え? なんで私そんな所で………」
…「フフッ」
杏子「それにあなた……」
杏子「(アラ? この人確か最近………)」
…「どうした。まだ寝起きで頭がはっきりしないか?」
杏子「ああぁぁぁーーーーーーっ!! あ、あなた……」
…「人を指差して言うのは日本では無礼ではないのか……」
杏子「あ、ご……ごめんなさい。 で…でも確かあなた昨日見城先輩のお墓で!!」
…「ああ、そういえば昨日目が合ったな」
杏子「あ、あなた………」
…「ふふ、相変わらずだな桐野杏子。相変わらずお前は爆発と縁があるようだ」
杏子「……爆発?」
…「なんだ、覚えていないのか。 まぁ無理もないな……あの状況はまさに間一髪だった」
杏子「あの〜、何を言って……」
…「私が言うよりもこれを観たほうが早いだろう」
杏子「(TV?)」
(ピッ)
『……え〜昨晩遅くに起こりましたこの爆発事故ですが……消防と警察の発表ではガス漏れによる爆発との見方が強く―』
杏子「……こ、このTVに映ってる建物……どこかでみたことがあるような〜………」
…「正真正銘お前のマンションだな」
杏子「やっぱりぃぃぃーーーーーっ!!」
…「やれやれ、少しは思い出したか?」
杏子「えっと〜〜……確か昨夜仕事から帰って部屋の前に着いて……」
杏子「(え〜っと、え〜っと……たしかそれから………)」
杏子「そ、そう! 確か玄関の鍵を開けて入ろうとしたらなにか……カラーンって物音が………」
杏子「確かあれって〜………」
…「正真正銘手榴弾だったな」
杏子「やっぱりぃぃーーーーー」
…「……」
杏子「じゃ、じゃあ……私の部屋って……」
…「御覧の通り木端微塵だな……まぁ被害はお前の部屋だけだから隣人にまでは及んでいないと報道されてるな」
杏子「そ、そんなぁ………」
…「まぁこうして命があるだけもうけものだろ? それに命の恩人に例の一言ぐらいあってもいいだろう。」
杏子「………そういえばあなた……誰です?」
…「………」
杏子「アハ……アハハハハハ」
…「やれやれ、その天然ボケは相変わらずみたいだな。 もっとも私もかつてはお前に命を助けられた口だがな」
杏子「え?」
杏子「(その口振りだと私を前から知っているみたいだけど……。それに私が命を助けたって……)」
…「フフ、まぁわからないのは無理もないかもな」
杏子「?」
…「私の今の顔は整形されたものなのさ……前の顔のままだとなにかと動きづらいのでね」
杏子「そ、そういえばその声……」
杏子「(それに彼女の雰囲気……どこかで感じたことがある……)」
…「おいおい、まだわからないのか? 本当にLost One事件の救世主なのか?」
杏子「あ…ああぁーーーーーっ!! あなたも、もしかして」
…「んん?」
杏子「モナコじゃなくてモナカじゃなくて……え〜〜っと、え〜〜っと……」
…「……おい」
杏子「モ、モ、モ……モニカ……モニカ・セレッティ……?」
モニカ「……やっと思い出してくれたか」
目の前にいる人物。それはエルディアでのLost One事件に際してアメリカCIAの諜報員でありながらプリシア女王に協力していた女性
だが目の前にいる人物はその時の面影は多少残ってはいるもののまったくの別人である
杏子「だ、だってあなたのその顔!」
モニカ「だから整形したといったろ。 前の顔のままだとなにかと今の仕事はやりにくいんだよ」
杏子「い……今の仕事?」
モニカ「ああ…私は今CIAでなくエルディア……プリシア女王のために動いているのさ」
杏子「プリシア女王の?」
モニカ「それが私と女王との誓いなのでね」
杏子「じゃ、じゃあプリシア女王も日本に?」
モニカ「いや、女王には国で色々とやらなければならないことがあって多忙なのさ。だから私が来た」
杏子「………」
モニカ「今日本では亡霊が事件を起こしているのだろう?」
杏子「ぼ、亡霊って……」
モニカ「なんだ、ひょっとしてまだ把握していなかったのか今度の殺人事件のことを」
杏子「"テラー"………ね」
モニカ「そうだ。 だがお前達は3年前にテラーは消滅したはずだと思っているのだろう?」
杏子「え、ええ……そう、テラーはエルディア旧情報部のことを指していた……そう聞いているけど…」
杏子「(天城さんから聞いた話はここで言うべきかしら…… いえ、まだ彼女を全て信用することはできない)」
モニカ「確かにそれは間違いじゃない。テラーとはエルディア情報部の暗殺部隊だったのだからな。情報部解体と共に消滅したと考えるのが妥当な線だろう」
杏子「じゃあ今回の犯人は模倣犯だということ?」
モニカ「外れだ」
杏子「え!?」
杏子「(どういうこと)」
モニカ「私もまだ詳しくは知らされていない。だがこれは未だに巣食う旧情報部に潜入していた同志からの報告だが………"プロジェクト・ネクスト"と呼ばれている計画がある」
杏子「ぷ…ぷろじぇくと・ねくすと!?」
モニカ「……カナ変換ぐらいしたらどうだ?」
杏子「あ、あはははは……」
モニカ「とにかく細部はまだわからないが、その計画によって生み出されたのが……」
杏子「………テラー?」
彼女は返事の代わりにただコクリと頷くだけだった
でも"プロジェクト・ネクスト"って……
モニカ「私もまだその計画の全体の概要は掴めていない。 だがそのプロジェクトにネオ・ナチが絡んでいるのは確かだ」
杏子「ネオ・ナチも!?」
モニカ「そうだ、昨夜お前の命を狙ったのも……ヤツラだ」
杏子「そういえばなんで私が……!?」
モニカ「詳細はわからない。 だが桐野杏子……お前が狙われるという情報が入ったためプリシア女王は私を派遣したんだ」
杏子「女王が!?」
モニカ「今お前が殺されるという事態は避けなければならない。Lost Oneの救世主となっているお前をな」
杏子「(はっ!!)まさか雄二君も」
モニカ「江国雄二か? いや、彼が狙われているという情報は入っていない。 そもそもお前の命が狙われたのも……どうも外からの依頼らしい」
杏子「外から……?」
モニカ「そうだ。 ネオ・ナチは誰かと取り引きをしていたらしい。その交換条件が………」
杏子「………私の殺害?」
モニカ「ああ、誰がそんなことを頼んだのかはわかっていないがな」
杏子「(私が狙われる? 誰が頼んだの………ネオ・ナチなんてテロリストグループに頼むぐらいだから……私に恨みを持つものが? 考えたらキリがないわ)」
杏子「(まぁまりな先輩ほどに裏の世界から恨まれてるとは考えたくないけど……)」
モニカ「とりあえず、昨夜お前の命を狙った人物はわかっている」
杏子「え? 誰、誰!?」
モニカ「マローナ ………爆発物を扱う殺し屋だ」
杏子「マローナ………女?」
モニカ「女だからといって甘く見ないほうがいいぞ。マローナは仕事には非情で、命令さえあれば親や恋人でも殺すと言われているからな」
杏子「(ぞ〜〜〜〜〜〜〜)」
杏子「ちょっとちょっと! なんでそんな危ない人間い私が!!」
モニカ「さぁな。 まぁ安心しろ……それを調べるのも今回私が来た仕事の一つだ。ちゃんと護衛もしてやるから安心するんだな」
杏子「へ、護衛!?」
モニカ「昨夜の爆発の瞬間も私が助けたんだぞ。もっとも昨夜は部屋一つが吹っ飛ぶ程度だから助かったが、もっと大きな爆発だったら私らは今頃生きちゃいなかっただろうな」
杏子「(そ、そう言われると…… なんだかゾーーッとしないわ)」
杏子「(ただでさえ昨日は昼間に狙撃までされたんだから)」
モニカ「さ、わかったらさっさとシャワーでも浴びて来るんだな」
杏子「へ…シャワー………?」
モニカ「その顔のまま出たいのなら私は別にかまわないがな」
杏子「(まさか……)」
私は慌てて洗面所に駆け込む鏡を凝視する
杏子「きゃぁーーーーーーーーっ!!」
あろうことか、髪は乱れに乱れ……おまけに顔は埃まみれだった
…………………… to be continued
ぱら「無事にThe 3rd Day 杏子編Tも公開だ!」
杏子「そうですね。 でも一体全体私ってばどうやって助かったことになってるんです?」
ぱら「……え!?」
モニカ「そういえばそうだな。私が登場できるのは正直嬉しいがどうやって私が杏子を助けたことになっているんだ?」
ぱら「え…え〜〜〜っと……そ、それはだな…」
杏子「なんです? いったいどうやって私ってば助かっちゃたんです?」
モニカ「なにをそんなに目を輝かしながら聞いてるんだ?」
杏子「だって危機一髪で助かるなんてまさに映画のヒロインみたいじゃないですか!」
モニカ「……ま、まぁお前がそう思うのならそれでいいが……」
杏子「それで一体どうやって助かったんですか?」
ぱら「うむ、それはだな……」
杏子「はい?」
ぱら「はら、えーっとアレだ!」
杏子「ワクワク」
ぱら「モニカが天井からいきなり現れて爆風から救ったんだよ!」
杏子「て…天井から?」
モニカ「いいかげんなことを言うな! なんだって私が天井から現れなきゃならないんだ!!」
ぱら「え、駄目?」
杏子「……もしかして助けたって事実だけでどうやって助けたかは考えてないんですか?」
ぱら「(うぐっ)ま…まさかそんあことあるわけないじゃないか、やだな〜」
杏子「顔が思いっきり引き攣ってるんですけど」
ぱら「ってわけで次回もサービスサービス☆」
杏子「あ、もう逃げた!」
モニカ「やれやれだな…」
杏子を護るためにやってきたモニカ
杏子が狙われた理由とは!?
深まる事態はさらに杏子を悩ませる
次回「EVE -Endless Rhapsody-」
小次郎編U!
次回も読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ♪
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EVE Endless Rhapsody