テラー編T




-11:00 都内某所-


    (プルルルルルル プルルルルルル)

    (プルルルルルル プルルルルルル)

    (プルルル……ガチャッ―)


カオス「……私だ。 ……今更君が私の元へかけてくるとは何事かね?」

カオス「…………」

カオス「………そうか、桐野杏子は生きていたか……」

カオス「………わかっている、引き続き暗殺計画は続行するさ。 君は交通整理でもしていたらどうだね?」

カオス「なにしろこの国の道路事情は私には耐え難い。成田からここまで来るのに何時間かかったと思っているんだ」

カオス「……ああ、そうだ。 だからこそ君は例の物を我々に渡しさえすればよい。元々同盟国のよしみもある。例え戦時中の交流はなかったとはいえ我々はメッサーシュミットも贈っていたのだぞ」

カオス「まぁ君には興味のない話だろうがな……」

カオス「………そうだ。では」

    (ピッ)

カオス「フン。所詮は飼い犬の分際で私に意見するとは………」

カオス「だが桐野杏子が生きていたとわな…… フィーア!」

フィーア「……」

カオス「主だった連中を集めよ」

フィーア「……」


    (バタンッ)


カオス「もうじきだ… もうじき私の悲願は成就する」


Dr.カオスの見つめる先、そこには旧ナチスの総統の肖像画が掲げられていた


カオス「ジーク・ハイル!」















    (プシュー)

    (カッカッカッカッカ……)


マローナ「おやおや…これは珍しい御方のご登場ね」

ヘレン「……」

マローナ「あら、組織で特別扱いされてるだけあって私なんか眼中にないってわけ?」

ヘレン「……」

マローナ「まぁ、あなたが最初に任された任務を私が果たしたわけなんだし、一言あってもいいと思うけど?」

ヘレン「……クククッ」

マローナ「……なに―?」

ヘレン「確かにこれまでの任務は何事もなく達成してたみたいだけど…… だからっておめでたいわねあなたも」

マローナ「なに!?」

ヘレン「そうやっていつまでも私が生粋のドイツ人でないことで蔑んで優越感に浸るのは愚かなこと……と言ってるのさ」

マローナ「!!」

ヘレン「図星……だった?」

マローナ「はみだし者が生意気言うんじゃないよ! 本当ならお前は殺されたって文句は言えない立場なんだ!! なぜドクターはお前みたいなヤツを……」

ヘレン「私はすでに組織内で結果を示している。 だからこそ今こうしてここにいるのがその証拠だ」

マローナ「なんだと!!その言い様 ……まるで私が結果を出していないみたいじゃないか!!」

ヘレン「そう聴こえるのはそう言われる覚えがある証拠でしょ」

マローナ「貴様っ!!」

…「クッククク、せっかく久しぶりに会えたのに喧嘩かよ」

マローナ「貴様!いつからそこにいた」

…「さっきからいたぜ。お前らはそうやってて気付かなかっただけさ」

ヘレン「……」

ヘレン「(いくら言い争いをしていたといっても私に気配を感じさせなかったなんて……こいつもか……)」

マローナ「クッ」

ヘレン「相変わらず抜け目がないな、サード」

サード「それよりもマローナさん。昨夜はちゃんと仕事は果たしたんですか?」

マローナ「貴様までがどういう意味だ? 私は桐野杏子がトラップにかかったのを確認している。現にヤツの部屋は木っ端微塵に―」

サード「くっくく、おめでたいな」

マローナ「なんだと!? まさか…―!!」

ヘレン「……生きていたのか?」

サード「ええ、先ほど例の人物から電話がDr(ドクター)の元にかかってきましたから」

マローナ「生きて…いただと!?」

サード「それともう一つ報告しておくことが……」

ヘレン「もう一つ? それよりフリッツのヤツはどうした……我々が集まってヤツがいないとは―」

サード「彼なら死にましたよ」

ヘレン「!!」

マローナ「ヤツが死んだだと!? まさかあんな日本の探偵ごときに返り討ちにあったというのか」

サード「いえいえ、マローナ。あの探偵、そんじょそこいらの探偵とはわけが違う」

ヘレン「会ったのか?」

サード「ええ、任務の途中で。 それとどうやら2人とも考え違いをしている。 どうやら彼を殺したのは僕の同胞のようで」

マローナ「同胞だと? 馬鹿な、我々の中でそんなことをするやつが…そもそもあいつを殺せるやつなんて」

サード「いえ、マローナさん。 私は“我々”とは言ってません、“僕の”と言ったんです」

ヘレン「お前の同胞……セカンドか!」

マローナ「セカンドだと!? やつが…やつがこの日本にいるのか!!」

ヘレン「ああ、私は先日ヤツに会った。 組織を抜け出してなぜここにいるのかは不明だがな」

サード「くっくく、所詮彼はシリーズ内でも欠陥品だったからね〜。 なぁ、ファースト?」

ヘレン「!!」

マローナ「!!」

ファースト「……」

マローナ「ファースト、貴様もいたのか」

ファースト「お久しぶりですねフロイライン・マローナ、そしてフロイライン・ヘレン」

ヘレン「……おやおやシリーズの2人がここに揃うとわな」

サード「クククッ確かに珍しいよ。それにセカンドのやつも理由はどうあれこの日本にいるみたいだし。そしてヤツは昨夜フリッツを殺害し、ご丁寧に犯行証明であるナイフを残していたんだ」

ヘレン「やつの死は日本の警察には知られたのか?」

ファースト「いや、すでに我々の手によって回収してある」

サード「やれやれ、役立たずのせいで余計な仕事まで回ってきた」

ファースト「言うなよ。ヤツだって私達と同じプロジェクトから生まれた者、いわば兄弟だ」

サード「甘いぞファースト! 所詮ヤツはシリーズには選ばれなかった欠陥品、レジェクトだ!」

ヘレン「……」

ファースト「まぁ、いい。 私はドクターの指示を伝えるだけ」

ヘレン「ドクターの指示?」

ファースト「そう、サードはその探偵の抹殺を。 そしてマローナは再び桐野杏子を」

マローナ「当然だ。 その仕事は私が引き受けたんだからね」

サード「おいおい……俺の方はヤツとすでに面識があるんだぜ」

ファースト「うまくやってくれたまえ………アギヴ・川口君」

サード「やれやれ。 ファーストは人使いが荒いな」



to be continued


あとがき

書くこことなしw

うごめくネオナチ
その刃が狙うわ小次郎と杏子の2人
一方杏子は自分の生存を雄二に伝えようとするのだが…
次回 杏子編V!

次も読まないと1919ぶっ放しちゃうわよ♪




Next Back

EVE Endless Rhapsody